星つきレストランに連続して行ってみた。 (2008/05/01) |
いわゆるミシュランの星つきレストランに先週末、連続していく機会に恵まれた。ロオジエとル・ジュー・ド・ラシェッそしてカンテサンスだ。(銀座小十には、いつだかの忘れ物をとりに、営業前に軽く雑談を・・・(笑))
この三店は、私の特にお気に入りのレストランで、ワインセミナー等で大変お世話になりつつ、三者三様の楽しさを実感できて、とても幸せだったりする。まずはロオジエ。ここはすべてにおいて総合的に美しく楽しいレストラン。銀座の一等地で、至福の時を過ごすには、これ以上の空間はあるのだろうかと思う。伝統フレンチの流れを汲んだ安定感のあるお料理と、小売価格と逆転現象を起こしている抜群のワインリスト、そして何人いるんだろう思わせる充実したスタッフと、彼らの小気味よい、近すぎず離れすぎずのホスピタリティによって、少しの緊張感と共に、とても楽しく食事をすることができるのだ。総合的な安定、そして充実。これがロオジエの真骨頂かと思いつつ、すべてが本物で彩られる食卓は、食のきわみを体感できて、三ツ星レストランの謂れを堪能できるからうれしい。たまの贅沢、そして本物。さすがに、夜には訪れることはできないけれど、ランチのひと時、とてもハッピーで、心が躍っている様が心地よかったりする。今回はいつもお世話になっている白根ソムリエにワインのサーヴをお願いしつつ、ずらりと並ぶロブマイヤーに極度の安心感とうれしさがこみ上げてくる。ロブマイヤーが好きでよかった。白根さんが今回のワインのために選んだロブマイヤーグラスは、その感性が私とぴったり同じだったので、私はなんともうれしかったりした。グラスVとブルゴーニュグラスに、どのワインに入れるか・・・。その感性と理由が楽しい。 ル・ジュー・ド・ラシェット。ここは今回は(も)ワインセミナーとしてお世話になった。センスのよい店内と、下野シェフの才能、そして中村支配人のよく通る声・・・。ロオジエが正装していくレストランなら、ここはちょっとしたおしゃれを楽しむレストラン。今回は私は食事をしなかったが、横から眺める風景は、いかにも「お皿の遊び」(=店名の直訳)な感じがして、とってもおしゃれ。季節を楽しむ料理、温度を楽しむ料理、ここにも最先端の息遣いが聞こえてくるから、うれしくなってくる。今回ご参加いただいた方々の笑顔を拝見しつつ、美しい料理は、美しいなあと意味不明な言葉も発したくなるから不思議だ。ここは東京・代官山の素敵なレストラン。今度は普通に食べにこようと思ったりする。ちなみにシャンパーニュの品目は都内でも屈指ではないかと思われるほど、RMのシャンパーニュが充実し、この時代、あるいはミシュラン星つきのイメージからすると、とてもコストパフォーマンスに長けているところもすばらしい。 そしてル・ジューさんでのセミナー後に一度車を自宅に置いて、再び上京して望んだカンテサンス。昼間はワインセミナーやら、食事会やら、なにやらで何回かお邪魔しつつも夜の訪問は初めてだった。集合時間を間違えて、さくっと早くに着いてしまい、ウェイティングルームで一人シャンパンを楽しみつつ、今回は個室の方に通された。今回はいろいろあって予約を取っていただいた某氏らと男四人祭りの素敵な夜。13皿(ん。14皿だったかな)にも及ぶ素敵な岸田ワールドは、スタッフの抜群のホスピタリティとともに、あたかも美術館で絵画を見ているような、そしてその絵の前でしばらく立ち止まるような、不思議な感覚と共に進行した。ロオジエの安定と伝統に対して、カンテサンスは岸田シェフの感性を楽しむ料理。奇抜ながらも、奇をてらうことのない斬新さがすばらしく、季節を味わい、そのセンスを楽しませてくれる。それはまさにココでしか食べられない独特の世界だ。今回は特に、お皿の上で跳ねるジンタ(超小あじ)、NHKで紹介されたタルト・ブーダン・ノワール(感動です。あの温度が忘れられないかも)、カリカリの皮目と対極的な肉汁のうまみを味わえるコション・ド・レなど、不思議ワールドが大炸裂していた。今回のワインは市村シェフ・ソムリエに完全にお任せという名の丸投げ(笑)で、市村さんのセンスも合わせて楽しませていただき、とってもハッピー。ウキウキする料理の連続・・・すばらしいといわずになんと言うのだろう。カンテサンスは岸田シェフの際立つ個性が光り輝くが、実はそれを支えるスタッフのホスピタリティに居心地のよさを覚える。食材の丁寧な説明と、料理の温度を意識させる手際のよさ、そしてなんとも小気味よい距離感。初めて訪問したお客さんへの心配りと、何回も訪問している人に対するちょっとしたウイットさが、なんともいい感じなのだ。ここが食の最前線。つくづくそう思う。 東京のレストラン。ここに食の世界の頂点を意識させ、そのホスピタリティのすばらしさに、食べることの幸せを再確認させていただきつつ、日常生活へと戻る様も、いとおかしだったりする。たまの贅沢。食ってたのしく、うしくしく、うれしいものですね。そして、私は気づいてしまっている。このホスピタリティは、平塚のブラッスリーHxMはもちろんのこと、小田原の回転寿司と同じであることを・・・。 おしまい Copyright (C) 2008 Yuji Nishikata All Rights Reserved.
|