古典も知るべし、楽しむべし (2008/08/04) |
毎日、あぢい日が続いています。ところで一昨日は、ハッピー・ワイン・セミナーの打ち合わせを兼ねて、日ごろから大変お世話になっている(食べる速度が)史上最速(笑)メンバーとともに、西麻布のオーベルジュ・ド・リル トーキョーさんでのランチ(男祭り)でした。「リル」といえば、アルザスの三ツ星レストランですが、日本進出は名古屋店に続いて二店舗目。数年後には確実に三ツ星の座を狙っているといううわさも耳にしつつ、個人的に「ひらまつ」グループとはまったくご縁がない身として、訪問することもなさそうな予感も漂っていましたが、この地で長らく営業していたザ・ジョージアン・クラブのシェフ・ソムリエの島本さんがリルに移籍されたということで、ここはひとつ首の皮一枚で関係が繋がったのでした(笑) 今回は初めての訪問ということで、ランチタイムにお邪魔しつつ「リル」のスペシャリテを堪能。うーん。すばらしいですね。最近は特に、カンテサンスのような現代風フレンチに慣れている身にとって、新鮮野菜はほとんどなしの、バターたっぷり、クリームたっぷりの伝統的なフレンチは、とても刺激的かつ、伝統の重みを知るに十分でした。内陸部アルザスの伝統を楽しむ。ぶれのない味わいは、とてもインテリジェンスでした。現代風に振れているフレンチの最先端を知ることも刺激的ですが、ときに、古典を知ることも大切だと、痛感しながら、ザ・ジョージアン・クラブの内装を随所に残すメインダイニングで、優雅なランチを楽しみました・・・男だけで・・・ひい。 ちなみにお料理はこんな感じでした。(島本さんに一任コース)(写真ももちろんないです) 甘エビのカクテル カリフラワーのムースとトマトのコンソメジュレ キャビア添え 鵞鳥のフォアグラのテリーヌ オーベルジュドリル風 グルヌイユのムースリーヌ ‘ポールエーベルラン’ プレデセール アリババとオレンジ オーベルジュドリル風 ヴァニラ風味の軽いクリームと共に カフェ 小菓子 リル トーキョーのランチを一言で味わいを表現するならば、統一感のある重さが特徴的で、バターやクリームをふんだんに使った、極めてこゆい味わいでした。今回は特に練り物ばっかりでしたので・・・。お料理的にはとても小ぶりな三皿でしたが、腹にズシリとたまるところが、凄いかも。でも極めて、こゆい。凄くこゆい。うううっ凄い。最近の素材重視の料理とは、明らかに一線を画しつつ、今日まで継承される伝統と技法に感激です。ワインは、島本さんにお任せして、グラスワインを数種類。アルザスワインとのマリアージュは、定番のすばらしさを体感し、2005フェブレイのムルソーが、グルヌイユのムースとよくマリアージュしてきました。 最近は、パンにも関心があり、ちょこっと質問。こちらのパンはアルザスから直輸入のそば粉入りパンを厨房で焼いているとのことでした。そしてパンに添えられるバターもAOCを二種類・・・リッチでした。そしておなか一杯に・・。品不足にあえぐバターをこんなにも摂取していいのかと思いつつ、両手と顔面が、にぎやかに潤ってくるから不思議です。 外装は、ジョージアン時代とほとんど同じで、玄関先にリルのロゴが入りつつも、その手前の駐車場に、本日のメニュを知らせる看板が表に出されているところは、ジョージアンと違うところかと思ったりします。天井がやたらと高くタイタニック号を連想させるメイン・ダイニングでは、大幅な変更はないようで、着席したときの水平目線より上の空間は、ジョージアンとほぼ同じでした。(螺旋階段横のでかい絵画が、アルザスの写真になっていたりしましたが・・・) しかし、テーブルセッティングなどは、ジョージアンとは違い、女性的なやわらかいテーブル・コーディネートでした。随所にリル本店の写真も飾られていました。メイン・ダイニングを特徴付けていた大きなテーブルはなくなり(二階の個室に移動したようです)、四人がけのテーブルが、たくさん配置されていました。女性目線の穏やかで、素敵な空間に、西麻布マダムたちの笑顔が映えていました。 食後は、ディズニーランドのシンデレラ城ように、館内を見学させてもらいました。ジョージアン時代にはなかった階段右手の個室も少人数用としてとてもリッチで、いい感じ。2月の会のときに控え室として使用させてもらった16人用の個室も、やさしい内装になっていて、とてもいい感じ。私のハッピーセミナーは、ぜひともココで開催したいと思ったりするいい感じ度合いでした。 東京・・・おそるべし。アルザスに行かなくても、アルザスと同じものを食せる不思議に、酔いしれつつ、時々は伝統フレンチに触れるのも刺激的だと思う夏の日の日曜のお昼でした。リル トーキョーの料理を絶賛する人は、古典好きな人が多いと察し、またいまいちだったよという感想をこぼす人なら、きっと新鮮野菜をふんだんに、素材のうまみを引き出す現代風フレンチの方が好きなはずと思ったりします。その人の好みを知ると、レストランの評価もだいぶ変わるのだろうなあと思いつつ、冷房の効いた室内を出て、直射日光がまぶしい西麻布の午後は、極めて蒸し暑いのでした。 おしまい Copyright (C) 2008 Yuji Nishikata All Rights Reserved.
|