異物混入 そのとき・・・ (2008/08/18)
 



 先日、都内某所のコンビニで、サンドイッチを購入して、セミナー前の腹ごなしを・・・と思ったら、サンドイッチの具に練りこまれるようにして、髪の毛が混入していた。うーん。食べ物を購入して、異物が混入していたのは、初めての経験かもしれないと思いつつ、こんなとき、どう対応しようかと、フェラーリ(号)を路肩に止めて、しばし思案したりした。

 サンドイッチに髪の毛一本入っていたところで、別に死ぬことはないと思われつつも、完全防備(が予想される)のサンドイッチ工場で、どうして髪の毛が混入するのか、そんな素朴な疑問も芽生えては、ここはひとつ何のリアクションも起こさないのは、いかがなものかと思ったりした。異物混入発生時にメーカーはどのような対応をとるのだろうか。その点にも興味が沸いて、とりあえず、その髪の毛が自分のものでないと再確認して、パッケージのフリーダイヤルに電話してみたのだった。

 髪の毛は、サンドイッチの具に練りこまれるような格好で、具から一本だけ外にはみ出ており、ひと齧りしただけのサンドイッチに、自分の髪の毛が混入したとしても、こんな感じで練りこまれることはないだろうと思い、電話をしてみた。電話口には、若い女性の声での応答があり、異物混入の件を伝えると、真っ先にお詫びの言葉があり、私の名前と連絡先を聞かれ、担当者から折り返し電話するとのご丁寧な説明があり、いったん電話をおくことにした。(正確に言うと蓋を閉めただけだが・・・)

 しばらくすると、工場から電話があった。真っ先に今回の件で、異物混入の事実と、不快な思いをさせてしまったことに対するお侘びの言葉があった。そのときの担当者の言葉遣いには、ややぶっきらぼうな感じを持たざるをなかったが、それはまあそれとして、話の展開を待つことにした。

 担当者からのお詫びの後、「現物を送った方がいいか」との私からの問いかけに対しては、即答で、不要とのことだった。そういうマニュアルになっているのだろうか。一応でも、現物をメーカーに確認してもらわないと、なんだかモンスター・クリアントになってしまったような錯覚にも陥って、収まりも悪かったりするが、商品の正確な名前と賞味期限さえ確定できれば、すべての工程が把握できるとのことなので、送らなくていいという。そもそも、あえて夏場のこの時期に、生ものを送るのもどうかと思ったので、指示にしたがって、現物を破棄することにした。

 で、工場の担当者は、私の自宅を訪ねて詫びを入れたいとのこと。それは気持ちだけでいい旨を伝え、固辞すると、ではサンドイッチの代金を返還したいとのことで、私の住所を教えてくださいという。サンドイッチの代金は190円。別にそれもいいですといいつつも連絡先を教えてもらわないと困るというオーラが電話口からにじみ出てきたので、素直に連絡先をお知らせして、電話を切ったのだった。

 今なら、メールでとりあえずの現物の写真でも送れるとも思うが、まあそれはそれとして・・・。確実に食べることができるサンドイッチを食べるのも捨てるのには気が引けたが、担当者の指示に従って、最寄のコンビニによっては、お茶を買いつつ、それを捨てさせて頂いた。

 で、翌日の午後、現金書留の速達版(切手代=780円)で、その工場から代金の190円が送られてきた。中には工場長の名前で、お詫びの文章が添えられていて、どこのコンビニでも使える1000円分のクオ・カードが同封されていた。担当者にはコンビニ名までは伝えなかったのだが、正確に記されていて、ちょっとびっくりだった。

 異物混入の連絡から詫び状の到着までわずか丸一日・・・。早い。

 そのあまりのスピーディな対応に感激すると共に、これだけ早いと頻繁に、こんなことが起こっているのか逆に心配にもなりつつ、誠意あるその対応には、いろいろと勉強になることが多かった。

 かつて、私も某工業製品を巨大メーカーに納めていた頃、製品の不具合が発生すれば、すぐさまその工場に駆けつけては、現状の把握と今後の対応策(緊急および恒久対策)を、本社と連携しながら対応した時代も懐かしく思われ、今回の異物混入事件は、とてもいい勉強になったりした。そういえば、日本とアメリカの現状認識の違いから、一向に解決しない不具合のときは、アメリカまで行ったなあ・・・懐かしいなあ・・・。会議の後のハンバーグはいい感じにうまかったなあ。食べ切れなかったけど・・。あの頃のスタッフは、みんな太っていたなあ・・・。

 そんな昔話を思い出しては、さて、食べ損なったそのサンドイッチを、買いにコンビニにでも行こうかな。


おしまい

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