東京で最も勢いのあるレストラン (2008/11/05)
 



 今月下旬のミシュラン東京2007年版の発売を控え、なんとなくですが、どこが星を増やして、どこが減らしてしまうのかなあ、というような話題が上る季節となりました。(どんな季節だろ(爆))

 昨日、日ごろ大変お世話になっている某氏と、予てから予約してあったフレンチレストランに行ってきました。男二人祭りというシチュエーションもどうかと思いつつも、お店には変な気を遣っていただいてしまい、案内された席がカップルシート(某氏調べ)という、その手の趣味があるんですかモードになってしまいましたが、極めてすばらしい料理を体感できて、一夜明けた今も感激しています。

 六本木一丁目にある、エディション・コウジ・シモムラさん。

 昨年のミシュランでは、お店の開店時期とミシュランの編集時期が微妙にあわなかったということで、その掲載が見合わされたという話ですが、昨夜の料理の勢いを思うとき、複数の星が必ず、輝くんだろうと確信したりします。すべてのお料理が薫り高く、素材のうまみが凝縮していて、食器類のセンスのよさも光りつつ、ミネラルウォーターの出し方ひとつとっても、とてもエレガントで、ソムリエさんたちのホスピタリティも万全でした。東京で一番勢いのあるレストランの評は、私も大いに頷きつつ、とても幸せな体験でした。

 料理は、三種類の構成から選ぶようになっていて、今回はシェフと料理の構成を作り上げるというこの店オリジナルなメニュの13,650円〜のコースにしました。このコースは、苦手なものを外すのではなく、好きなものを選んでいくというスタイルで、お好みと食べる分量に合わせて皿数まで調整可能とのこと。今回は、もっともスタンダードな冷たい前菜・温かい前菜・魚料理・肉料理の四皿の構成にしてもらいつつ、この店を推薦していただいた某女史お気に入りの一皿の「牡蠣」を入れてもらいました。で、某氏からの指摘が・・・。そのコースの値段は、13,650円(サ別)ではなく、13,650円だったのです・・・。好きなものをがんがん積み上げていくと、シェフのお任せ料理21000円コースを軽くオーバーしかねない状況も想定しつつ、男二人で、何を勘違いみたいな感じになりそうだったので、とりあえず、牡蠣を入れて、13,650円のあたりを指でぐるりと一周させて、このあたりで収まる感じでという、価格優先にしていただきました。その頼み方が正解だったと今も信じます(笑)

 四皿のコースになりましたが、アミューズのちっちゃいハンバーガーとデザート系三皿をいれて、なんだかんだで、8皿の構成にはなりました。その料理は、店名で検索すると登場するようなスタンダードなものにしていただきつつ、さくっと紹介すると・・・。

 宮城産牡蠣の冷製 海水と柑橘のジュレ 岩海苔風味 

  牡蠣を食べてねという某女史のメッセージがビシバシ心に刻まれた名品。極めてうまいです。初めて食べるのに、どこかで食べたことがあるような味わい。極めて平たく表現するならば「冷たい牡蠣のお茶漬け ご飯なしバージョン」。(怒られるかなあ) しかし、牡蠣のエキスが海苔の風味によくあって、日本人に生まれてよかったと思いつつ、この料理が銀座の某和食店にあっても違和感を感じさせない「日本味」。この牡蠣を食べるためだけに、六本木一丁目に来たいと思える逸品でした。

 フォアグラのソテー、セップ茸のスープと共に(名称は自分調べ的な略称にて)

 これも薫り高く、すばらしいです。温かい料理が心に沁みる季節となりましたが、この温かさとキノコの香りとフォアグラの甘みが、ピエール・モレの息子が醸したサントーバンの白と絶妙にあいつつ、あの温かい香が今も鼻腔をくすぐり続けます。温かいってすばらしい。キノコの香りってすばらしい。思わずお皿に釘付けとなりました。そして、スープのかけ方一つとっても、素敵なホスピタリティを感じます。

 カダイフを纏った的鯛の軽やかなフリット ブロッコリーのクーリとレモンのコンフィチュール

 最近、各地で見かけるカダイフ・・・。うーん。ここでもかと思いつつ、口に運ぶと、サクサクのもっちもち・・・。うまい。でも、添えられた甘すっぱいレモンのコンフィチュールは、「軽くいらないですね」とソムリエ某女史にふいに伝えてしまい、本音トーク出しすぎと某氏の注意を受けつつ、それでもおいしい的鯛でした。カダイフの上からかけられたチーズ(たぶんパルミジャーノ・レッジャーノ)の香りが強いので、チーズ嫌いなひとには、この蒸せるような香りは、厳しいかなと思いつつ、私もこのチーズは軽めの方がいいかもと、再び本音トークが・・・でもチーズがあるからシャルドネが進む、進む、進む、飲みすぎました・・・。

 (名称等は、大胆に失念・・・鴨は何種類かあるようで・・・ロワゾーの窒息鴨じゃない方)

 肉厚で、火の通りもいい感じ。脂身部分のこんがり感は、絶妙すぎて、これはもう喜びだけが生まれてきます。肉が、肉らしくうまいと幸せですね。2000年のメゾン・ルロワのシャトーヌフ・ドュ・パプとの相性も抜群でしたが、グルナツシュのパワーに押され、料理の名前がすっかり飛んでいってしまいました。鴨だけに・・・(爆)。あはは&すみません。南のワインは、グラス半杯でいいことも判明しつつ・・・すっかり、強いワインは、飲めなくなったもんです(爆) ところで、鴨といえば、ピノ・ノワールが大定番ですが、ソムリエの山田さんとは以前から面識もあり、面識があってワインをお任せにすると、必ずピノ・ノワールは避けられてしまう傾向を意識しつつ(笑)、今回は鴨にではなく、ソースとスパイスにあわせて、このワインを山田さんに選んでいただきました。とてもいい感じです。

 そして別に注文したチーズ三品を食べ終わり、アボン・デセールの後に登場したチョコレートに驚愕でした。名物「カカオウォーター」と交互に食べては、幸せモード全開に。鴨のときには、酔いがめまぐるしく廻りつつも、このチョコレートで現場復帰できました(笑) 圧巻といってもいいくらいのおいしさと驚きです。このデザートは凄い。今もそう思います。そしてあのカカオウォーターは、ペットボトルに入れてもって帰りたかった・・・。

 そんなこんなで、カップルシートの男祭りは終了しつつ、振り返ってみれば、薫り高い上品なお料理の一つ一つには、心地よい勢いが感じられ、一皿ごとに食べる喜びと、このお皿にいたるまでのすべての経路(いのちの恵み、農家さんの思い、流通の心意気、料理人の哲学など・・・)を思い起こさせるリスペクトが、ほろ酔い加減の体に、感動がいい感じで沁みてきます。勢いのある料理は、とても幸せになりますね。あわよくば、鴨料理の名前は、覚えておきたかったですが・・・(爆)

 気持ちのよいレストラン。東京でもっとも勢いを感じさせるレストランのひとつとして、とても素敵な夜でした。しかし、今度は、男祭りはやめにしようと思います(笑)


おしまい

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