ミシュランの盲点 魚のおいしいイタリアン (2008/11/06)
 



 今月下旬のミシュラン東京2007年版の発売を控え、なんとなくですが、どこが星を増やして、どこが減らしてしまうのかなあ、というような話題が上る季節となりました。(どんな季節だろ(爆))

 最近、各分野の料理人やレストラン関係者、それもトップクラスの方たちとお話しする機会がたくさんあり、極めてありがたい限りですが、最近注目しているレストランはどこだ、みたいな話になると、決まって登場するレストランがあります。例えば、それがイタリアンで言えば、広尾三丁目の「イル・リストランテ・ネラ・ペルゴラ」さん。

 先日、予約の電話をしつつも、その日の夜ならあいてますとのこと。これは渡りに船だということで(言葉の使い方が違うような気もしつつ・・・)急遽、お邪魔することになりました。まずは、本文を書き進める前に、お店の道順とかシェフの経歴やディナーの特徴などをご紹介しなければと思いつつも、結論を急ぎたくてしょうがありません・・・。(なんかで検索してください)

 結論・・・

 「うまい」
 「極めてうまい」
 「特に魚がうまい」
 「パスタもうまい。いい茹で加減」
 「ついでに言えば、自家製パンもうまい」
 「ワインはオール・イタリアン・・・知ってる銘柄もありました(爆)」
 「肉もうまいが、魚の感動の後では多少、分も悪いかも」
 「ドルチェの利平栗もおいしいなあ」
 

 職人気質の斎藤シェフのすばらしい料理に、一皿目から、さっそくうっとりしつつ、すばらしい料理の数々に、心が奪われまくったのでした。なぜ、ミシュランはここに星をつけなかったのだろう・・・つくづくそう思います。そして、まもなく発売される2009年度版には、必ずや登場するであろうし、もし登場しないのであれば、ミシュランの目と舌は節穴であると断言できそうな予感も漂ってしまいました。ペルゴラさん畏るべし。

 メニュは、8000円のコース(プリフィクス)に一本化されていたようで、それに追加料金を3000円足すと、白トリフをかけてもらえたりしそうでしたが、今回はいくらかの追加料金を支払いつつも、寄寓にも、前菜・パスタ・メインがいずれも魚料理づくしの選択になってしまい、それがまたかえって大正解で、ご一緒していただいた方のメインのお肉半分もらって、肉の味わいも楽しみつつ、それでも魚の余韻がたまりませんでした。さかなさかなさかな。

 桜海老、白魚、赤座海老、烏賊のラグー、カラスミのパスタ、アマダイ・・・どれも好みの塩加減と絶妙な温度と火加減、そしてふわふわ・・・さくさく・・・ううう・・・すばらしい。かねてより、野菜がうまいと幸せを感じる私をして、魚がうまいと、これも幸せを実感しつつ、特にカラスミのパスタは、たとえるならば、「六月の銀座小十の鮎」と同じレベルの動揺と感動がありました。ということで、私の極めて小さいカラスミの世界ながら、(私の)カラスミ史上最高傑作と断言することにしました。もう一度食べたいカラスミのパスタ・・・。きっと今夜も夢に出てくることでしょう。でるんだろうな・・・今度、いついけるかなあ・・・ごくん。

 東京の真ん中にして、最寄駅(恵比寿)から遠い立地条件と、暗い店内、若いスタッフ二人のサービスなど、賛否を分ける要素はいろいろ挙げられますが、私は概ね賛の方であり、その夜のお客さんたちもなんだかとても素敵でした。(満席でした・・・ぎりぎりセーフ・・・ありがたいです) ただ、4種類あるはずの自家製パンを3つしか食べられず、四つ目を待っている間にパン皿を下げられてしまった点を除けば、極めて至福のひと時といわざるを得ないのでした。グラスワインを何種類か注文してしまったので、絶対額的な会計は高めになりましたが、相対的には安いと思わせる質の高さと、料理の勢いを感じて、それはもううれしい限りです。

 そして信じます。

 「斎藤シェアの魚料理に、ジャック・セロスをロブマイヤーであわせたい。」と。

 私の密かにして最大の欲望が生まれた瞬間でもありました。(ってここで書いちゃ駄目ジャン) これで、某所と某所に加えて、イタリアンのレパートリーも広がって、素敵な幸せモードとともに、お正月が迎えられそうです。(って早すぎ)

 駒沢通り、恵比寿の坂を上る勇気があれば、某コンビニの前に素敵なイタリアンがあることを、この場に記したいと思いつつ、予約が取れなくなってしまうことを考えると、ミシュランの目に節穴があってくれることを願ったりもする、小春日和な秋の夕暮れなのでした。ペルゴラさん・・・おそるべし。そして魚を食べたい。もう一度。もう一度。ていうか何度でも。


おしまい

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