龍安寺石庭は、オフシーズンがいい (2008/11/25)
 



 11月後半の三連休の京都といえば、紅葉真っ只中の超ウルトラ・ハイ・シーズンということで、観光地と観光地へと続く道は、凄い渋滞だった。今回は大阪でのハッピーワインセミナーが夜にあったので、昼間の早い時間に京都を攻めつつ、向かった先は、午前の龍安寺。ここの枯山水に何度心を洗ってもらったことか・・・今回も不意に空いた時間を利用しての、訪問と相成った。

 京都で好きな場所はどこかと尋ねられれば、この石庭と答えたくなる私のお気に入りにして、久しぶりの訪問にちょっとだけウキウキしていた。三連休の中日にして、紅葉も美しいことから、人出の多さは想定内にして、心頭滅却すれば、石庭の前でたった一人を意識して、あれからずいぶんと穢れちまった心の洗濯できるものと信じて、いざ石庭の前へ・・・。

 駄目でした。

 幾重にも重なる人ごみの中で、ようやく辿り着いた縁側に腰をおろすのもつかの間、右の方から携帯で写真を撮る音が聞こえ、左の方からデジカメで写真を撮る音が聞こえ、背後から聞こえてくるのは、何もここで消去しなくてもいいでしょという感じのデジカメの写真消去の小刻みな電子音の連続でした。石庭に集中しようにも、前面以外の三方から発せられる電子音の連続攻撃は、私のあざとい心頭を滅却することすら、させてもらえず、石庭に広がる壮大な宇宙を感じることは、今日はちと無理と判断しては、早々に、私の龍安寺石庭訪問史上、最速で、その場を立ち去り、吾唯足るを知るで有名な蹲の前に、これまた凄い人だかりを避けるように通り抜けては、あれよあれよというまに、お池の散歩道も一周してしまい、退却してしまいました。

 かつて、なんども石庭を訪ねては、たくさんの観光客に遭遇していましたが、ここ数年は訪問することもなく、超久しぶりの訪問は、携帯電話とデジタルカメラの強烈な普及の前に、時の流れを意識しつつも、「人はいるけど静寂」という不思議な空気感は、絶滅してしまっていたようで、寂しさだけが募る京都な風景となってしまいました。これで私の写真嫌いにも拍車がかかりそう・・・・。そもそも人は、何のために、石庭の写真を撮るのでしょうか。心の目で見つめてこそナンボの石庭と信じるものにとって、耳に残る電子音の連続は、うーん、辛いです。

 今度、石庭に行く時は、オフシーズンのオフな時間を調べつつ、ひっそりと訪問したいと思いながら、フェラーリ号は、京都太秦界隈を目指したのでした。


おしまい

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