Domaine Claude DUGAT ドメーヌ・クロード・デュガ
第一問
ドメーヌ・クロード・デュガには、あるひとつの特徴があります。さて、なんでしょう。
答え ACジュブレ・シャンベルタン内のアペラシオンからしかワインを造っていない
第二問
ドメーヌ・クロード・デュガがリリースする特級ワインは3つあります。
そのアペラシオンはなんでしょう。
答え グリオット・シャンベルタン
シャルム・シャンベルタン
シャベル・シャンベルタン
第三問
ドメーヌ・クロード・デュガが実践する農法はどれでしょう。
答え リュット・レゾネ
(ビオロジーの手前の段階で、ぶどうの病気など必要最低限の化学薬品は使用する農法)
<解説>
クロード・デュガのワインを整理すると次のようになる。
ワイン |
格付 |
生産 |
特徴 |
グリオット・シャンベルタン |
特級 |
2樽 |
超プレミアムワイン |
シャルム・シャンベルタン |
特級 |
3樽 |
プレミアムワイン |
シャぺル・シャンベルタン |
特級 |
2樽弱 |
メタヤージュによるレアワイン |
ジュブレ・シャンベルタン・ラボー・サン・ジャーク |
1級 |
5樽 |
濃縮感のある男性的なワイン |
ジュブレ・シャンベルタン1級 |
1級 |
6樽 |
PerrieresとCraipillotのブレンド |
ジュブレ・シャンベルタン |
村名 |
不明 |
2002年は超ハイインパクト |
ブルゴーニュ・ルージュ |
地方 |
不明 |
. |
註 生産量はビンテージによって異なる。デュガ氏の口頭回答より転記
クロード・デュガは、他のジュブレの生産者とは一線を画し、ジュブレ・シャンベルタン村内だけからワインを造っている(ACブルゴーニュは除く)。これはすなわち、他のアペラシオン・コントローレと比較が出来ないということだ。例えば、セラファンは、シャルム・シャンベルタンとカズティエなどから大銘醸ワインを造っているが、モレ・サン・ドニとシャンボール・ミュジニからも1級ワインを造っており、これらの村のワインとジュブレ・シャンベルタンのワインを水平にテイスティングすることで、それぞれの村の個性を確認することが出来る。逆に、ジュブレ・シャンベルタンの名手が造るシャンボール・ミュジニはどんな味わいになるのか違う興味もわくところだろう。質問時に挙げたドメーヌは皆、違う村からもワインを造っていて、拠点以外のワインを知ることで、テロワールの違いを認識しやすい状況も用意されている。これは造り手とビンテージを同じにすることで、畑の個性や村の個性が現れやすくなるからだ。
テロワールを知るには、条件を同じにしないと基準がぶれるわけで、一人の造り手を通してテロワールを知るのが簡潔かつ明瞭な作業になり、楽しみでもある。そして今度は、生産者を変え畑を同じにすることで、生産者の個性に隠れやすいテロワールを再認識できるからワインの楽しみは終わらない。
しかしクロード・デュガにはジュブレ・シャンベルタンのワインしかない。もちろん3つある特級同士のテロワールを確認したり、ラボ・サン・ジャークのテロワールを知るには、絶好の造り手であり(高価かつ希少の条件をクリアできれば)、なによりも世界トップクラスの味わいを知ることが、テロワールを知る近道なのは言うまでもない。しかしジュブレ・シャンベルタンのテロワールを別のアペラシオンを通して確認することは出来ないのだ。
他のアペラシオンとの比較が出来ないというジレンマを抱えつつ、そのジレンマを吹き飛ばす個性的なワインをクロード・デュガは造り出す。デュガのジョブレ・シャンベルタンそのものが、この村のテロワールと表現しうる可能性を持っている。これはシャンボール・ミュジニ村のドメーヌ・ボグエがシャンボール・ミュジニのテロワールを代表するのと同じ構造だ。
そしてヴォーヌ・ロマネ村のドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)にも同じことが言えるだろう(DRCは違うアペラシオンから白ワインを二つ造っているが、赤だけに限って話を進める)。そして周知のことながら、ヴォグエにしろ、DRCにしろ、そのアペラシオンの第一人者であることは否定のしようもないが、完璧なテロワールの代弁者にはなりえていない。これはブルゴーニュの畑が分割所有されているためだ。
DRC |
= ヴォーヌ・ロマネのテロワール |
ヴォグエ |
= シャンボール・ミュジニのテロワール |
デュガ |
= ジュブレ・シャンベルタンのテロワール (但書つき) |
ここでデュガに但し書きがつくのは、この村を代表するシャンベルタン・クロ・ド・ベズとシャンベルタンの両方とも所有しないためだ。やはりインパクトが弱い。
デュガが表現するジュブレ・シャンベルタンのテロワールは、そのワインをとことん飲みつくすか、他の生産者が造るジュブレ・シャンベルタンとの比較においてしか認識できない。デュガが造るそれは、デュガ・ピィが造るそれと、ジョセフ・ロティのそれも違うが、根底の部分で共通するこの村の、あるいは個々の畑のテロワールを確認するとき、これがまさしくジュブレ・シャンベルタンの個性を知ることに繋がるだろう。そしてこの比較がブルゴーニュの楽しみの一つでもある。
デュガを飲んでジュブレ・シャンベルタンの魅力を知りたいと思いつつ、プレミアのついた価格設定は、適正価格を逸脱し、なんだかなあと思わせるところが辛く、ブルゴーニュの悲しい縮図を見るにつけ、現実の厳しさを知る。ブルゴーニュはつくづく需要と供給のバランスが悪く、価格が「味」で決まらない現実があったりもする。いずれにしても賛否両論あるデュガ評に注目しておこう。
以上
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