銀座小十さんでの至福のとき

日  時 2006年11月4日(土)18:00〜21:00
場  所 銀座小十さん http://www.kojyu.jp/
人  数 10名様(個室)
会  費 35,000円の予定(お料理・ワイン等すべて込み)
お料理 小十さんのお任せコース料理
グラス  ロブマイヤー・バレリーナ・シリーズ 唐津焼隆太窯

御献立 

 付出し 針魚・小柱・水菜 山菜和え
       ワタリ蟹・蒸し鮑酢ゼリー
 椀    帆立貝真丈 松茸
 造り   本鮪・真鯛・あおりイカ
 揚物  とら河豚唐揚げ
 焼物  イベリコ豚味噌柚子焼
      かます 松茸包み焼き
 食事  天然うなぎ丼
 甘味  ひ・み・つ


ワイン 
 n.v.    シャンパーニュ レゼルベ            テタンジェ
 2005   キザン甲州                                機山洋酒工業 x2本
 2003  ピュリニー・モンラッシェ1級ルフェール    アルノー・アント
 2002   シャサーニュ・モンラッシェ1級カイユレ     フォンテーヌ・ガニャール
 2002   特級バタール・モンラッシェ              フォンテーヌ・ガニャール
 2004   アルザス ピノ・ノワール               ジェラール・シュレール
 1997   特級クロ・ド・ヴージョ                   ドメーヌ・ルロワ



 先日、予約の取れない和食の名店「銀座小十」さんにて、小十さんの全面協力を頂きながら、ワインセミナーを開催しました。和食とワインの不思議なつながりをテーマに、ムニュ・デギュスタシオン方式になぞらえて、進行させていただきました。


 テタンジェをロブマイヤーで楽しみつつ、付け出しに舌鼓。タラバガニから変更されたワタリ蟹の酢ゼリーは、ちょっとここでしか味わえなさそうな上品さ。そのうまみにほほを緩めつつ、帆立の真丈の椀物へと続くお献立には、ブルゴーニュの銘醸白ワインを立て続けにぶつけ、そのうまみに迫りました。


 アントのピュリニー・モンラッシェ1級ルフェールは、香りの爆発力を抑えるために敢えてデカンタージュをし、幾分酸化傾向に持っていきました。2003年の個性を反映し、酸の少なさを覚えますが、ファーストインプレッションの強さは、シャルドネ三本飲み比べの幕をあけるのにはちょうど良いサプライズ。つづくシャサーニュ・モンラッシェ1級カイユレは、非常に硬い味わいで、しかし短時間に開かせるために、なんとトリプルデカンタを実施。通常なら後半にやってくるだろう落ち着いた味わいを早め早めに表現してみました(10杯どりのため)。


 圧巻はやはり、バタール・モンラッシェで、この造り手の個性でもある滋味目を狙いつつ、太陽を感じさせる陽のイメージ。いつまでも続く深い味わいは、とらふぐの唐揚げまで引っ張ることができたようです。


 そしてお刺身には、ピュリニー・モンラッシェは厳しかろうということで、前日発売されたばかりのキザン白(甲州)を、ワイングラスではなく、唐津焼隆太窯南蛮コップを中里隆さんの作で、サービスしました。日本の土から生まれた日本のワインは、日本の土で包みたい。素朴で、それでいてしっかりと甲州を表現する唐津焼の奥深さに、惚れ惚れしつつ、和室の空間にピタリと共鳴しては、二本持ってきてよかったと、思うのでした。


 で、イベリコ豚の焼き目に、ジェラール・シュレールの2004アルザス・ピノノワールを。そもそもピノ・ノワールは、穏やかで酸味の利いた味わいが、和食に馴染むといわれていますが、このワインほど和のイメージに沿うものはないのではなかろうかという印象を持ち、ワイン単独でのおいしさと、豚の産地のアルザスならではの、豚肉との相性のよさを実感するのでした。アルザスワインのミネラル感とうまみ成分が、食欲をそそりつつ、おいしい宴は進行していきます。


 そしてメインのかますの松茸包み焼きと、まさに飲み頃を迎えたルロワの1997クロドヴージョで、この会の盛り上がりは最高潮に達します。甘酸っぱいクロドヴージョは、1997年の個性を前面に出しつつ、特級クロドヴージョが、ロマネコンティと比較されうる銘醸畑であることを体感するのでした。かますという魚に松茸の芳香が加わると、それはまさにピノ・ノワールとあわせろと言わんばかりの凄みがありました。


 お料理のファイナルは、ワインの残りとともに四万十川の天然うなぎをつかった極上のうな丼をお楽しみ。これはもう笑うしかない境地に達しつつ、ワインが早めに無くなってしまった方には、申し訳なく思いました。次回の課題とさせていただきたく、気持ちを切り替えて、ひみつのデザートを静岡のお茶と共に頂きました。小十さんには、専属のパティシエさんがいて、お料理の流れとはまた違った趣で、甘いものを楽しむことができ、そのメニューは、参加者だけの秘密ということで、この場での公開は差し控えようと思ったりします。


 和食とワイン。

 
 その異国文化の融合は、かつてカテリーナ・ド・メディチがアンリ二世に嫁いだ際に、嫁入り道具としてフォークを持っていったことから今日のフランス料理の原型が作られるようになったのと同じような、そんな意識も働きつつ、おいしいものは美しく、そして国境を越えて繋がるものだと実感するのでした。


 今回の経験を踏まえ、また季節が変わるころに第三弾を開催したいと思いますので参加をご希望される方は、にしかたあてメールを頂戴できれば幸いです。


 おいしいお料理と、ワインと、器と、そしてその空間に感謝です。


以上



目 次   HOME

Copyright (C) 1988-2006 Yuji Nishikata All Rights Reserved.