クリストフ・ルーミエの畑仕事

なんとなくピンボケで、すんません
ジュブレ・シャンベルタン村の特級畑 リュショット・シャンベルタンにて
ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ当主 クリストフ・ルーミエ氏 (2003年6月18日)

 クリストフ・ルーミエとともに歩くジュブレ・シャンベルタン村で唯一グランクリュ街道に接していない特級リュショット・シャンベルタンの葡萄は、6月の猛暑を受けながら、青々と茂っていた。このリュショット・シャンベルタンは、ドメーヌ名ではなく、クリストフ自身の名でリリースされている銘醸ワインである。昨今のルーミエ人気を受けてか、かなりの高値で取引されているが、ドメーヌ名でリリースされるミュジニやアムルーズ、ボンヌ・マールの陰に隠れがちで、通好みの穴場的ワインかもしれない。この日はアシスタントの男性と二人で畑の中に入り、土の具合を確認しては手作業で土を掘り返していた。「この地道な作業がテロワールなんだ」と呟くクリストフは、パリの試飲会で見かけた時とは、うって変わって、農民の目をしている。ワインは大地の恵みであり、そしてその大地はこんな地道な作業の基に成り立っているのだと痛感させられる。ワイン自体は世界的名声を受け、その温厚な人柄もあいまってか、当人も大の人気者ではある。しかしワイン造りは地道な肉体労働なのだ。エレガントで華やかな表舞台に欠かせないルーミエのワインを思い描くとき、毎日の畑仕事で支える彼の姿に、優雅な白鳥の水面下でのバタ足を思い起こさせた。

 ただ酔うだけでなく、ただステータスとして飲むだけでなく、ワインはもっとおいしく飲めると思ったりする。畑を歩く彼の後姿を思い起こしながら、大切に飲むワインの味わいは、きっと以前とは違う味がするにちがいない。ワインはもっとおいしく飲める。彼の背中がそう語りかけていた。

ルーミエも犬を飼っている・・・
意外と勾配のあるリュショット・シャンベルタンを歩くクリストフ・ルーミエ氏
この右手側にはルソーのモノポール クロ・デ・リュショットの畑が続いている
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リュショット・シャンベルタンのピノ・ノワール (同日)


2003/07/08
Photes by Yuji Nishikata



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