ロベール・グロフィエ
試飲日 2000年5月25日 (2001年6月10日追加)
場 所    神奈川県内小田急線沿線某所
写真はレザムルーズ
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOC赤ワイン
生産者 Domaine Robert GROFFIER (Morey-Saint-Donis)
Vintage 1998
テーマ 水平テイスティング
ワイン Chambertin Clos de Bese Grand Cru <追加>
Chambolle-Musigny 1er Cru Les Amoureuses 
Chambolle-Musigny 1er Cru Les Sentiers 
Chambolle-Musigny 1er Cru Les Hauts-Doix 
Gevrey-Chambertin 
Bourgogne Rouge 


2001年6月10日追加
<シャンベルタン・クロ・ド・ベズ>
 キャプテン型のデキャンタに流し込みしばらく待つ。シャンベルタングラスに注がれたグロフィエの傑作は強烈なインパクトを飲み手に与えてきた。黒系の深みのあるルビー色はなんともリッチであり、1990のシャトー・ムートン・ロートシルトで感じた豊かな土壌香とパワフルボディはグイグイ系の力強さである。タバコをはっきりと感じ、なめし皮も加わったアロマは言葉失わせるのに十分だ。深みのある味わいと、複雑な飲み応えはなんとも偉大である。
 グロフィエの水平テイスティングを経験してから1年あまり、ついにシャンベルタン・クロドベーズに出会えてしまった。関係各位に感謝するとともに、偉大なワインとの出会いに感激である。
 神奈川県某所にて 


2000年5月25日分
 グロフィエの1998年水平ドリンキングを経験した。上記にBonne Maresと Chambertin Clos de Be`seを加えられれば完璧だったが、その希少さと高値のために 今回はシャンボール ミュジニーの一級畑の違いについて堪能するのみだった。しかし、 それは堪能の領域を超え感動の極みまで達した。ドリンキングの順番は表記の下からである。


<ブルゴーニュ>
 まずはACブルゴーニュから。村名クラスの若木が70%あるとの情報があり、その味わいは 優にこのクラスを超えている。この味わいの延長線上にレザムルーズを思い描くことができる。 レストランでこのワインがサービスされれば食卓を大いに盛り上げてくれること間違いなしだ。 今まで飲んだブルゴーニュの中で屈指の印象深い味わい。


<ジュブレ・シャンベルタン>
 ジュブレシャンベルタンは今回のシャンボールシリーズとはAOCが異なり隣接もしていないので 多くを語ることは適切でないかと思う。しかしうまい。このワインをビンテージ違いで 7000円台で出すフレンチが都内某所にある。予約が取れないことで有名なこのレストランで 完璧なサービスと共に味わうこの味は、ひそかな楽しみである。


<一級の場所説明>
フランス ブルゴーニュ地方 コートドニュイ シャンボールミュジニー村
Morey-Saint-Donis村側の特級ボンヌマールの東隣がサンティエ
Vougeot村側の特級ミュジニーの東隣がレザムルーズ、その北側にレゾドワ


<レゾドワ> @10,500円(税込み)
 やさしい味わい。喉で感じる香がアルコール以上に心地よく酔わせてくれる。バラの香。 舌に残るタンニンにも増して果樹実の甘味。色は深いルビー色。この品のよい味わいは今でも 私の心に突き刺したままだ。熟成まで待てず手元にあればすぐにでも飲んでしまいそうだ。 この味わいはモレサンドニの個性との評価あり。三本の中ではこのレゾドワが最も飲みやすく、 ブルゴーニュワインに興味がある人が飲めば、この世界の奥深さに益々飲みたくなる味だろう。 ボルドーワイン好きなら、なぜもっと早くにこのワインに出会わなかったのかと後悔しつつ 楽しむか、ボルドーに比べ薄い色合いに物足りなさを感じながら、 色の濃いワイン=美味いワインの図式が音をたてて崩れることだろう。ブルゴーニュの中では これでも濃い色合いだと思うが。おいしい。そのひとことだけでいい。


<サンティエ> @11,000円(税込み)
 まだ堅い。深みのある渋み。繊細な深み。熟成させたいワインだ。レゾドワと比べると その堅さゆえ一歩譲るが、将来ぐぐっとくるだろう。想像するだけで日々の生活に 花が添えられる。ぜひセラーに一本欲しいところだ。世間ではサンティエの一番の作り手は グロフイエだという。サンティエの基準にしてはハードルが高くなってしまった。 なぜサンテイエか。やはりシャンボールミュジニーの名手といえばDomaine duConte de Vogue't が君臨しているからだろう。ボグエは飲んだことがないので想像の域を越えないが、 このグロフィエをもってしても立ち向かえないのなら、益々ボグエにも興味が湧く。 しかしボグエはサンティエを作っていない。私はグロフイエを大いに楽しみたい。 サンティエ=グロフィエ。そんな贅沢はそんなにない。


<レザムルーズ> @17,000円(税込み)
 さすがである。極上の味わい。色合い・香・味わい・すべてに共通するものは繊細さ かつ奥深さ・余韻の長さである。バランスも最高で劣るものがない。なぜこれが 特級Grand Cruでないのか不思議でならない。格付けは一級でも価格は特級と肩を並べる。 市場は正直だ。 赤ワインにマロンフレーバーを感じたのは初めてだ。マロンからナッツへと変わる風味を楽しむ。 グラスはできるだけ揺らさないように。ワインブームの煽りでグラスをぐるぐる回す人が多いが、 そんな乱暴な振る舞いをしてはこの繊細でエレガントなアロマを感じることは不可能だろう。 実際そんなことを試すのは勇気がなくて、できないので想像するだけだが。 他人のことはさておき、この濃縮されたうまみは不思議である。濃いはずなのに飲みやすい。 飲みやすいのに余韻が長い。赤ワイン史上最高ランクの一品だ。 レザムルーズ。直訳で恋人たち。カップルの食卓に並びがいのあるワイン。ワインを知る カップルならば最高の夜が約束できる。このワインに秘められた味を共有できれば、 その名前以上にふたりの心に受け止められるだろう。


<まとめ>
 すごくて、うまくって、高いけどぜひ欲しいワイン。畑の違いも並べて飲むといっそう はっきりわかる。この味は好きである。葡萄品種はピノノワール。畑も近所。しかしワインは 別物。なぜ。どうして。ここにブルゴーニュの奥深さがあり、やめられない誘惑がある。 この印象深いワインとすばらしい作り手。これからは親しみをこめて ロベールと呼ぶことにしよう。


以上


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