場 所 |
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神奈川県内某所 |
写真は1989年 |
照 明 |
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蛍光灯 |
種 類 |
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ポルトガル ヴィンテージポート |
生産者 |
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Quinta do Vesuvio |
Vintage |
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1998 |
テーマ |
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ポートワインの楽しみ
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ワイン |
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Vintage PORT 1998 |
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<ビンテージポート 1998>
色合いはとにかく濃い。黒混じりの紫にルビー色が混ざり合ったような深い色合いである。口に含めば濃縮された果実味が強烈なインパクトと共にやってくる。まさにもフレッシュな果実味である。甘味の中に酸味がしっかりしている。アルコール分を相当感じるために、あっという間に酔い居心地である。すごいワインであるが、INAOで飲むとアルコールを感じすぎるため、グラス一杯で満腹感を感じる。甘くてくどいワインになりがちだ。
しかし、開口部が垂直になっているアペリティフグラスで頂くと、これがどっこい無茶苦茶、上品になってくる。アルコールを避けながらうまみ成分としなやかな飲みごこちを、こころゆくまで堪能できる。すごい。グラスの差がここまでの違いを出すとは驚き以外の何物でもない。ヴェスビオのビンテージポートとこのグラスがあれば、いつ宮中晩餐会に呼ばれても恥を掻くこともないだろう。偉大な食後酒を堪能することは、なんとも優雅なひとときを共有できたようで少しリッチである。おそらく100年後も同じ味わいを保ちつづけるだろう偉大なワインに感謝である。
このビンテージポートは酒精強化酒の最高峰に位置付けられ、スティルワインとタメを張り、世界的な評価を勝ち得るワインである。イギリス王室主催の宮中晩餐会のラストは常にビンテージポートであることもその高い評価の現われである。なぜ評価が高いか。それは、この甘さが自然の恵みそのものだからである。自然の恵みを壜に閉じ込め、何十年後の夕食の後にゆっくりと楽しむ。祖父の時代に造られたワインを孫の代で振舞われる。そしてその孫が造ったワインはその孫へと受け継がれていく。世紀を超えた御もてなしにその実力をいかんなく発揮するのは、オールド・ビンテージ・ポートとオールド・ビンテージ・マデラを置いてほかにない。それは至極優雅なひとときの共有でもある。
ポートワインは大別すると4種類に分類できる。ビンテージ・ポートとオールド・トニー・ポートとその他二つである。ビンテージポートが果実味を重視し、長期にわたり出来立ての新鮮さ(いわゆる自然の恵み)を楽しむのに対し、オールド・トニー・ポートは10年以上の樽熟成の妙を楽しむものである。残り二つについては諸説あるのでここでは触れないが、(ルビーポート・ホワイトポート・トニーポート・レイトボトルなど)、世界のワインと同列に語られるのはビンテージポートである。
今までにヴェスビオのビンテージポートは1989 1996 1997 1998と四つのビンテージを飲んだが、個人的には1996のあの濃縮感が忘れられない。1997は水っぽさを感じビンテージの差をまざまざと痛感したが、今回の1998も1996に勝るとも劣らない名品である。情報によれば1997もグレートビンテージらしいが、個人的には好みじゃなかったりする。
ビンテージポートワインはスティルワインと違い抜栓後も数日楽しむことができる。ナイトキャップに、パーティの締めくくりにぜひとも欲しい一品である。
以上
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