ジャン・ボワイヨ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年8月18日 | |||||||||||||||||||||||
<味わい> 輝きのある薄い金色。香りは某氏の助言を借りれば、ドメーヌ・ルフレーブの1級を彷彿させるという。残念ながら白ワインのトップ4たるルフレーブはACブルゴーニュしか飲んだことがないので、なんとも想像の域を超えないが、なるほどこのアロマがか、と思わずほくそえんでしまった。焦がし香が鼻腔をくすぐるのである。甘く、ニッキ味の紅茶キャンディを焦がしたようなアロマである。まさにくすぐるとは言い得ているな。燻し香とも違う、樽を焦がした感じとも違う、とにかくくすぐられるアロマなのである。香りを嗅いでいてこんなに楽しいとは、恐れ入谷の鬼子母神系の味わいである。ベビーパウダーを焦がした感じもあるような、ないような、そんな感じである。 味もしっかりとキリリたち、うまい。辛口ワインが持ち合わせる甘味をしっかり携え、果実酸が心地よい。濃縮感も十分あり、重過ぎず軽すぎず、この絶妙のバランスに思わず興奮を押さえきれない。長熟タイプを予感させつつ、早くも飲み手を虜にさせている。まだ某店にあったので、ここは給料日が待ち遠しつつ、売れないことを祈るばかりである。 価格も決して安くはないが、ルフレーブの価格を考えるとお買い得感もある。おそらくこのくすぐり感は白ワインをとことん飲みこんできた人にも、始めてブルゴーニュを飲む人にも、ブルゴーニュの白に感激したことない人にも、衝撃を与えてくれる逸品だろう。 この夏、幸運が重なり白ワインの大銘醸をとことん試飲させていただき、ある程度自分なりの線引きが出来つつあった。コントラフォン・コシュデュリ・ラモネ・ドーブネといった大銘醸家たちのワインに憧れと尊敬と欲望に満たされつつ、他の造り手を一歩忘れがちであった。そんな慢心とも言える気持ちにこのジャン・ボワイヨは喝を入れてくれた。白ワインの世界はもっと裾野が広いのである。上記の造り手がすごいのはある意味当然で、彼らに果敢に挑戦しつつ、すばらしいワインを造り出す人たちを忘れてはいけない。価格的には彼らの半分或いは数分の一しかなくとも、味わいは僅差である。比べれば値段順が白ワインとも思えるが、この少ししかない差を大いに楽しみたいところである。 どうやらすっかり白ワインの虜になっている。いいぞ。 <ジャン・ボワイヨ> 当主のアンリ・ボワイヨはバタール・モンラシェが大看板(ただし小作契約)のドメーヌ・ジャン・マルク・ボワイヨの兄である。ドメーヌ名のジャンは父の名であり、本人の名はネゴシアンのメゾン・アンリ・ボワイヨの名でリリースされている。混乱を避けるためにネゴシアンものにはエチケットに※印がついているというから親切である。今回のワインはドメーヌものである。 ちなみにエチエンヌ・ソゼは兄のドメーヌ・ジャン・マルク・ボワイヨに畑を分割相続されたためにドメーヌの看板を下ろし、ネゴシアン会社を設立したのだった。少しややこしいが、ソゼに引導を渡したのが今回試飲のドメーヌ・ジャン・ボワイヨの当主アンリ・ボワイヨの兄たるジャン・マルク・ボワイヨであり、今回のドメーヌとは違うドメーヌである。 なんかこんがらがってきた。 以上 |