アンリ・ペロ・ミノ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年9月24日 | |||||||||||||||||||||||
<始めに> ついにアンリ・ペロ・ミノの登場です。モレ・サン・ドニの造り手にして上記の特級を看板にし、モレ・サン・ドニとシャンボール・ミュジニで銘醸ワインを造り出すクリストフ・ペロミノは好みの造り手ながら、今までドリンキングレポートに登場しなかったのが不思議でならない。ただの筆不精という説があるが、いよいよペロちゃんの登場だ。 マゾワイエール・シャンベルタンはシャルム・シャンベルタンの南に位置し、ラトリシエール・シャンベルタンの東隣にある。そしてこの特級畑の最大の特徴は、シャルム・シャンベルタンを名乗ることが出来るという点である。シャルム・シャンベルタンはシャンベルタンの東隣に位置し、ACジュブレ・シャンベルタンの特級の中で最も女性的と表現される。そして世界的な知名度も高く、マゾワイエールのほとんどがシャルムとしてリリースされているのだ。知名度が高ければ、同じ特級でも高値で取引できる。しかしペロミノは敢えて名前を分けていた。その理由を知りたい。そんな欲望が募ったある日、ついに両者を飲み比べる夕暮れ時がやってきた。さあ。ニ本の特級ワインが立て続けに抜栓された・・・。 <マゾワイエール・シャンベルタン> 黒系の色合いながら、アロマには新鮮なプラムを感じ赤系の印象を受ける。おいしい。フレッシュな果実を頬ばったような感触さえ感じうるおいしさである。甘いアロマに包まれつつ、ジュブレの特級にしてこのやさしい味わいは、また不思議なうまみでもある。タンニンはきつくなく、その分やさしさに包まれているようだ。 <シャルム・シャンベルタン> やはり黒系の濃い色合いである。シャルムにもエッジに紫はない。ほっとする。マゾワイエールに比べると酸味を感じるが基調は同じである。酸味を感じる分、やや軽さを感じるが濃縮感などトータルな飲み応えはこちらに分がありそうである。好みの問題でもある。やさしくコンパクトにまとまった味わいは、ペロミノの造り方に起因するものだろう。辛口にして最近流行りの甘味成分がフレッシュ感とあいまっていい感じである。 <まとめ> 隣り合う二本の特級ワインを比べると確かにその差は存在していた。しかしそれは飲み比べたからこそであり、単独で飲む場合には明確な違いは感じることは難しい。 以前よりペロ・ミノのワインには構造がないと言われてきた。本人の弁という説もある。なるほど、確かにその一面は感じざるを得ない。おいしく小さくまとまっている感を払拭できないのは、その表れでもある。ペロ・ミノがブルゴーニュでトップ10の仲間入りを果たすためには、やはりこの構造的な骨格が必要なのだろう。たとえばそれは、ポンソの1990や80年代のルソーで感じる力強さかもしれない。この構造的な味わいはジュブレ・シャンベルタンの特級ワインには必然的に求められるもので、この骨組みこそジュブレ・シャンベルタンの特級たる所以でもある。 ただこの小さなまとまり感はACを変えると俄然印象的にもなる。シャンボール・ミュジニ一級コンブドルボーなどはその典型で、やさしさが構造不足を覆い隠し、非常にやさしいシャンボールとなる。ペロ・ミノのシャンボールにはACらしさがあり、それはそれはおいしいワインである。 で、ペロミノは何故二つの特級を分けたのだろうか。おそらくそれは分けるほどの量があるからだろう。あるいはこの微妙な味わいの差を表現するためか。基本的には別々のアペラシオンなのだから、その畑の位置に忠実だったのだろうか。一度本人に確かめたいところである。ペロ・ミノを良く知る某日本人女性によれば、当主クリストフはシャイな男であり、ペロちゃんと呼びたくなるような愛くるしさがあるという。ペロちゃんとの長い付き合いに期待したい。 以上 |