ボールナール
試飲日 2000年9月24日
場 所    神奈川県内某所
照 明 蛍光灯
種 類 フランス コートデュローヌ産AOCワイン
生産者 Domaine de BEAURENARD
 (Chateauneuf-du-Pape)
Vintage 1998
テーマ 日本初入荷の幻のヌフパプ。
ワイン Chateauneuf-du-Pape Cuvee Boisrenard


 ドメーヌ・ド・ボールナールはコート・ド・ローヌ地方のACシャトーヌフ・デュ・パプでトップ評価のドメーヌに登りつめた。確実にシャトー・レイヤスとボーカステルに並んだとの前評判どおり、そのワインは実に上品で印象的なワインを造り出している。日本での知名度はないので、買い占めるなら今しかチャンスはない。税込み6,500円は絶対お得である。おそらく次回の販売価格は今回の倍をつけるだろう。飲めば納得である。

 シャトーヌフ・デュ・パプは14種類の葡萄品種(従来の13種にグルナーシュ・ブランが追加された)をブレンドして造ることが認められているが、このワインはグルナーシュがメインにシラーとその他をブレンドして造られている。生産量はブルゴーニュの特級なみに低く抑えられ、最高級の新樽で熟成された。そして1998年はコート・ド・ローヌ地方の超グレートビンテージであり、その恩恵はこの握り拳のような形をしたAOCにもすばらしいワインをもたらしている。

 ブルゴーニュは単一葡萄品種、ボルドーの赤は5品種から造られているが、このシャトーヌフ・デュ・パプは14種類のブレンドが可能である。品種が多すぎるため評価が定まりにくい。品種の個性に惑わされ、場所の差が出にくいためだろう。また余談ながらこのシャトーヌフ・デュ・パプ(直訳で、法王の新しい城)は原産地呼称統制発祥の地でもある。このおしゃれな名を語る不届き者排除のために、法制化したのが始まりである。


<味の印象>
 一瞬ピノノワールと見間違うほどの果実味がある。粉っぽさは、チョコレートの風味に変り、これまた一瞬だったがボルドー系のジャムのような印象も現れた。瞬間ながら二大産地を彷彿させる実力こそ、トップ評価の理由の一つだろう。
 紫ベースの黒い赤はローヌの個性である。飲み込むと胸が熱くなるようなアルコール感があり、思わずアルコール度数を確かめたくなる。濃過ぎる飲み口ではあるが、ためらいを覚える前に食道を通過するから不思議である。このワインは確実に酔う。飲みっぷりのいいワインである。

 今回は時間を置かず抜栓後すぐにINAOグラスに注いだ。そして遅れてきた某氏のために一杯分を瓶に残したまま小一時間経過した。某氏の参加により開けられたワインにビックリ仰天であった。粉っぽいココアの香が充満し、途中で消えることなくいつまでもグラスに残っているからである。この地方で、ココアパウダーの上品な香を堪能したのはもちろん初めてである。同じ時間をINAOグラスで過ごしたヌフパプにはこの豊かな香はなかった。
 つくづくワインは楽しい。飲み方の違いがこんなにも香に差をつけるのである。言葉では説明できない魅力がある。しかし飲めば、納得である。

 ところでこのワインの評価は非常に高い。ボールナールによれば15年後に飲んでもらいたいとのこと。確かに長熟タイプであり、その確証は今飲んだからこそ実感できる。結局将来うまいワインは今もうまいのだ。何本か買い揃え、時間の経過と共に楽しみたいワインがまたひとつ増えた。しかし既に売り切れている。あぁあ。

 しかたがない、ホームページを見て楽しもう。

 http://www.beaurenard.fr

以上


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