ジャン・リケールとギュファン・エイナンと | ||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年10月14日 | ||||||||||||||||||||||
<サン・ヴェラン2000 (ジャンリケール)> 極薄い金色。柑橘系の果実香にあいまって、その皮の裏側の白っぽいところのやや苦味のあるあのアロマに似てなくもない。いい。雑身がなく、新鮮な果実をお酒にしたようでもある。口に含めば、どっこいトロトロの味わいである。酸が良い具合に効いていて、つばも出てくる出てくる。重い味わいにして、くどくなく、幸せ風味である。 今回はポーク肉と合わせてみた。やはり食事と合わせると、ワインも進むし料理も進む。重めの味わいが豚肉を含むことで、するするになる。リケールのワインがレストランで楽しめたら、どんなに素敵だろう。ワイン単独でもおいしいし、白身肉と合わせるとその性格をがらりと変えてくるからだ。料理の合間に飲むも良し、料理と共に飲むも良し。普段なら10分かけて食べる料理も、このサンベランとならあっという間に食べ終わってしまうかもしれない。 ところでEN FAUX とはどういう意味か。辞書によればFAUXは嘘。嘘だろと思うほどうまいワインという意味なのか。本当に嘘みたいにうまいワインである。 <マコン1999 (ギュファン・エイナン)> より色を濃くして、より重くしたトロトロ感。甘い充実感と共に、さすがリケールを雇っていたギュファン・エイナンの実力を思い知る。マコンにして長い余韻とうまみの塊。いい。こっちもいい。そして豚と合わせてみる。んん。なるほど、こう来たか。ポークをまず口に含み、肉が喉を通る前にマコンを一口。両方を同時に飲みこむと、サンベランとは全く違う印象を受ける。まず肉のうまみが充満し、マコンがそのうまみをトコロテン方式よろしくマコンの重みのある味わいが口の中を占領し、そして飲み干すとまた豚が登場してくる。不思議である。 肉との相性が悪いような印象があるかもしれないが、こういう組み合わせもあって良い。サンベランとの比較も楽しかったりする。 グラスに残るアロマは木の香り。オーク樽を連想させる心地よいフィニッシュである。 <まとめ> 今回の二本のワインはブルゴーニュ地方・マコネ地区のAOCワインである。畑の格自体は、サン・ベランもマコンも同格だが、一般的な評価はサンベランに軍配が上がるとされている。しかし両者を飲み比べると、明らかにマコンのほうがワインとしての充実感が勝っていた。値段も逆転しているし、味わいもしかりである。しかし料理と合わせるとどうなるか。これは完全に好みの域ではあるが、料理と合わせるならサン・ベランに軍配を上げたい。ワインとして飲むなら、マコンに一票ではある。 しかし、そんな意見は無意味だったりする。どちらもすばらしいワインだからである。豚とサンベランを合わせたい夜もあれば、マコンと食べたい夜もある。両方楽しみたい夜もある。その判断は同席者の好みや食卓の演出、予算などによるものだろう。ジャン・リケールとギュファン・エイナンというすばらしい造り手を知っているからこそ、楽しめる食卓がある。認識こそ感動の基である。おいしい食事の為に、知識欲も刺激される。いい感じである。 ジャン・リケール・・・・・・ギュファン・エイナンの下で醸造。近年独立。 ギュファン・エイナン・・・異業種からの参入。ネゴシアン・ヴェルジェも運営。注目の人。 (なお、両者の表記は試飲順とした) 以上 |