アンベール | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年10月28日 | |||||||||||||||||||||||
<アンベールとは誰か> 今をときめくクロード・デュガとベルナール・デュガ・ピィの従姉妹に当たるドメーヌであり、飲む前から高まる鼓動が聞こえてくる。彼らに比べれば確かに安く、これは超お買い得かもしれない。今回がフランス国外初出荷との情報があり、出会ってしまった以上飲むしかないだろう。もしアメリカで大ブレイクすれば、もう二度とお目にかかれないドメーヌになってしまうかもしれない。最初で最後のテイスティングの可能性すらある。当主のアンベールはワイン造りの際ベルナールを呼ぶというから、ますます期待が高まる。祖父の代までは同一所有であり、相続によって分割された畑からデュガ系の味わいに振られているのか、デュガヒィ系のクラシックタイプに振られているのか、楽しみである。さあ。飲むさ。 <ジュブレ・シャンベルタン レ・ポワスノ> 室温。抜栓後すぐINAOグラスへ。甘い香りが立ちこめてきた。と思ったらすぐ沈んでしまった。透明感があざやかなルビー色は、赤ワインというよりロゼワインが最も濃くなった感である。エッジに紫はなくゼリーのような赤みはこの村にしては意外である。軽い飲み口にして、非常に飲みやすい。奥行き感はあまりなく、なんだか意表をつかれたままであった。ちょっぴり残念系である。 畑はジュブレ・シャンベルタン村の西の端にあり、一級ラボ・サンジャークの近くである。今年の五月、疲れ切った私が迷子になったところでもある。その先はオートコートドニュイへと続く山である。個人的にはいい思い出がないところが贔屓目に見て辛い。 <ジュブレ・シャンベルタン エストゥーネル・サンジャーク> 同じ条件でテイスティング。今度は一転クロード・デュガを彷彿とさせるムラサキ系の濃い黒系ルビー色である。ポワスノと比べると深みと渋みが強調されている。甘い香りはデュガに通ずるものがある。デュガと思えば思えなくもない味わいはお買い得感を感じることもできなくもない。ただ残念ながら味わいが薄く、うまみ成分はあまりない。 畑はポワスノの北隣に位置し、ラボサンジャークに接している。 <シャルム・シャンベルタン> 前ニ作がことのほか期待はずれであったために、ラスト勝負である。特級シャルム・シャンベルタンを飲まずしてこのドメーヌのうんぬんは語れないだろう。 同一条件でのテイスティング。さすがグランクリュである。端正な味わいはする。より深みのあるムラサキ系の色合いにして、甘い香りに半してメリハリの利いた辛口。なかなかいい感じである。ただやはり奥行きがなく、うまみ成分は漂わなかった。ラストのミント香に少しだけ救われる思いがしたのは、気のせいではないはずだ。 <まとめ> クロード・デュガ系の味わいを感じつつ、あのレベルには達していないというのが正直な感想である。価格の差が、味の差といえば一番すっきりするだろうか。お買い得なデュガと思えば、思えなくもない。アンベールがアメリカで大ブレイクするかどうかは分からないが、例えブレイクしても対岸の火事という印象である。 アンベールはワイン造りのときベルナールを呼んでいるというが、醸造の手伝いをしてもらったというよりは、その時期にお茶しただけかもしれない。デュガ・ピィのクラシックな味わいは全く感じられなかったからだ。紫色と甘い香りから想像すると、クロードが少し手伝っているかもしれないが、自分のワイン造りに忙しいときに真剣にはアドバイスしていないのだろうか。憶測が憶測を呼びつつ、数本しか国内で流通していないため、もう出会えないかもしれない。まあある意味、最初で最後の出会いかもしれない。 このワインを熟成させても、厳しいかもしれない。数年後にオオバケする要素は現時点でも感じられないからである。辛口レポートにつき、お詫びするところはお詫びしたいが、ただ今回のワインは飲む価値はあると思う。何故そう思えるのかは飲まないと分からないだろうが、飲めばきっと納得できると思われる。ちゃんちゃん。 以上 |