ヴァンサン・ダンサー
試飲日 2001年11月4日
場 所    神奈川県内某所     
照 明 蛍光灯
種 類 フランス AOC一級白ワイン
生産者 Domaine Vincent DANCER (Chassagne-Montrachet)  
Vintage 1999
テーマ ダンサー再登場
ワイン Chassagne-Montrachet 1er Cru La Romanée

<シャサーニュ・モンラッシェ 1er Cru ラ・ロマネ>
 抜栓後すぐにINAOグラスへ。室温。もう少し冷やしたほうが良いかなと思いつつ、テイスティング。薄い金色。オイリーな趣が印象的である。燻し香はなく、質感のある濃い味わい。鼻に抜く瞬間にうっすらとマロン香を感じる。この村の特徴であるトロピカルフルーツは奥に潜み、静かながら穀物系の味わいがある。シャルドネに穀物の風味はないので、料理の香りがグラスに入り込んだからかもしれない。そして時間と共にバター香が現われてくる。バターはバターでも雪なんとか印の銀紙を外したときのような、そのままのバター香である。温度が高いため引き締まった感じこそないが、充実感のある飲み応えにシャサーニュ・モンラシェの新生の実力を思い描ける。
 おそらくもう少し冷やしたならば、白い花を伴いつつトロピカルな味わいが楽しめるのだろうが、この温度でのテイスティングもまた一興である。食事と共に味わいつつ、ダンサーの夜は深けていった。
  
 ブルゴーニュのワインは部屋の温度・ワインの温度・グラスの種類によって、または特定できない、なにかしらの理由によって味わいを変える。飲むたびにいろいろな味を飲み手に伝えてくる。ワインがもつ潜在的な実力をどのように引き出すか。ワインの楽しみであり、深みである。そして、そのどれもがシャルドネというたった一つの葡萄品種から造られている不思議を感じざるを得ない。ビンテージや場所、造り手の差はいうに及ばず、飲む環境や時の流れにも左右される。もちろん一緒に食べる料理の影響も大きい。ワインを主役として飲むときと、食中酒として飲むときでも違う。
 ブルゴーニュは常に違うということにおじけず、この味わいを楽しむ余裕が欲しい。味覚の違いは飲み方で補いつつ、素敵な夜を大いに楽しみたいものである。


<ヴァンサン・ダンサー>
 1998年が初ビンテージの新進気鋭のドメーヌである。1996年まではルロワとルイ・ジャドに樽を売っていた実力派。このドメーヌの文献は乏しく、ほかにどんなワインを造っているのか不明である。シャサーニュ・モンラシェ村に本拠地を置き、この村を代表するドメーヌ・ラモネやミッシェル・ニーロンの座を狙えるドメーヌであることは間違いない。いまでこそ某所でしか見かけないが、今後都内でも見かけることも多くなるだろう。恐らく徹夜組みが出る可能性すら想像に難くない。店頭で見かけたら即買いだ。


以上
 


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