サロン
試飲日 2000年10月9日
場 所    埼玉県内某所        
照 明 蛍光灯
種 類 フランス シャンパーニュ産AOCワイン
生産者 SALON (Champagne)
Vintage 1988
テーマ 最高級シャンパーニュ。
ワイン Salon blanc de blancs


<味の印象>
 極上のシャンパンもまた、うまかった。シャンパングラスに勢い良く立ち昇るきめ細かい泡は、清潔なシャンパーニュグラスと安定した保管状態の賜物である。きりきりに冷やしたサロンは緑がかった黄金色に美しく光っている。芳醇な香は貴賓に溢れ、快楽である。味わいは果実味がしっかりとしている。鎌倉ハムの極上生ハムを食べながら味わうと、ぐぐぐっと筋肉が引き締まる。うまい。おそれ入谷の鬼子母神系な味わいである(意味不明)。
 今回一緒に食した生ハムは、上品な塩気が特徴の知る人ぞ知る隠れた逸品である。店頭には並んでいないので、レジの女性に在庫状況を確認する必要がある。この生ハムは高級メロンや新鮮な桃と一緒に食べると頬の肉がとろけること必死である。サロンもメロンとの相性と同じか、それ以上の取り合わせでもって食卓を彩ってくれた。
 メロンとの相性が抜群の生ハムとのべストマッチは、このシャンパーニュが溢れんばかりの果実味を持つことを証明している。食中酒のオールランドプレーヤーたるシャンパーニュの実力を思い知った一杯でもある。
 シャンパーニュは保管状態によって味が左右されやすく、普段は敬遠しがちであるが、今回のサロンはとてもおいしく戴くことが出来た。感激である。


<ワインの特徴>
(1) まずビンテージ・シャンパーニュである。
 このシャンパーニュ地方はブドウ栽培の北限に近いため、天候の差が品質の差に現れやすい。毎年同じ味を維持する必要があるため、この地方では複数の年号をブレンドして品質を整えている。他の地方ではあまり見られない独特の手法である。寒さゆえの生活の知恵である。
 このビンテージ・シャンパーニュは出来のいい年に限って造られる。他の年とブレンドしてしまうには忍びないほどの出来栄えにより、単独年号として生産されるのだ。その年の個性を味わいのひとつに位置付けつつ、確固とした味が約束されている。高級品である。

(2) つぎにブラン・ド・ブラン(白の白)である。
 シャンパーニュは黒葡萄系のピノノワール・ピノムニエと白葡萄系のシャルドネの三品種をブレンドして造られるが、特にシャルドネだけで造られたものを白の白として位置付けている。高級品である。シャンパーニュは黒葡萄系の二品種の作付面積が大きく、シャルドネは少ない。もちろんシャルドネはブルゴーニュでの極上辛口白ワインの唯一の葡萄品種である。シャンパーニュで成功すれば、まずい訳がない。また余談ながら、ピノノワールはブルゴーニュにおいて世界最高峰の辛口赤ワインの葡萄品種であり、当然ピノノワールがブレンドされたシャンパーニュも素性のよさを知らしめている。

(3) そしてサロンはこのシャンパーニュしか造っていない。
 サロンは零細企業であり、大企業がひしめき合うこの地方では異色である。零細にもかかわらずこのビンテージ・シャンパーニュのみを生産しているからだ。出来の悪い年の商売が他人事ながら気になるが、おそらくネゴシアンに収穫された葡萄を売ってしまっているのだろう。

(4) シャンパンを贈るなら断然サロン。
 サロンのボトルには「S」と大々的に表示されているので、イニシャルがSの女性用にプレゼントとしても評判がいい。ただ値段も高いので、本命クラスにしか贈れない。このワインを貧乏な男性からもらうことがあったら、相当気合が入っていると推察してあげよう。


 シャンパーニュについてはこのページだけでは説明しきれない。また別の機会に挑戦してみよう。シャンパーニュはとてもおいしいので、知っていれば幸せな夜を満喫できること間違いないぞ。

以上


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