ミクルスキ
試飲日 2001年12月15日
場 所    神奈川県内某所       
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOCワイン
生産者 Domaine François Mikulski  (Meursault)     
Vintage 1999
テーマ ミクルスキのムルソー・シャルム1999
ワイン Meursault 1er Cru Charmes
 
<味わい>
 キャップシールがワックス・シーリング仕様の特別キュベ。抜栓後すぐINAOグラスへ。温度計にて温度測定すると液温15℃、室温は24℃であった。
 輝く金色。若干冷やし目のためか、香りは閉じ気味である。温度が上がるにつれて、上質なバター香が現われ、クリーミーさが増してくる。リンゴも出てきたように思われる。口に含めば、唾がどぼどぼ出てくる。ムルソーにして酸も多く、しっかりと引き締まった味わいである。持続力と言いたくなる余韻は、長く、豊かである。これはムルソーなのか。むるむるしたトロミ感はなく、非常にすっきりした味わいであり、奥深い趣を発揮している。ラストは焦がし香も加わって、極上の一杯である。最近自分なりのミクルスキの評価がどんどん上がっていく。素直な驚きに包まれつつ、おいしいワインに感謝である。

 今回のワインは1999のムルソー・シャルムであり、新進気鋭のミクルスキがワックスシーリングにした特別キュベである。本来ならば10年後、早くても5年以内には当然開けられることがないだろうと考えられるワインではある。そこにワインの油断と言うか、「えっ今飲んでしまうの?」という驚きや戸惑いがワインに感じられた。しかし、そんな油断は見逃さない。出会った時が飲み頃を信条としている者につかまった運のつきである。ごくごく飲んでしまったからには、ワインもびっくり仰天のはずだろう。

 確かに、このワインは長熟タイプである。現時点では、つぼみの状態にある。10年後は花開き、飛び切りの味を醸し出すに違いない。その潜在能力が随所に見受けられる。しかし、そのワインを今飲むのである。結論は当然「今飲んでもうまい」である。将来うまいワインは造られた当初からうまいのである。もちろん10余年の歳月を得られば、今とは全く違う感動が、そこにあるだろう。熟成の醍醐味というやつである。
 しかし10年という歳月を待つリスクを考えると、今飲んでも全く問題はないし、この新鮮な味わいを共有したいほどである。なぜミクルスキが注目を浴びるのか。なぜ同じムルソー村の新星アルノー・アントより数段安いのか、自分なりの答えは飲んでみないとわからないし、飲めば虜になってしまう。時間の先取りは結構楽しい作業だったりする。10年後に出会えればラッキーこの上ないが、熟成の途中でセラーの故障や財力、自分の健康が害される恐れを考えると、やはり今宵の出会いに感謝して止まない次第である。そしてミクルスキの本命・ムルソー・ジュヌブリエールとの出会いもまた楽しみである。

 とはいいつつも、本当は数本欲しいところである。せめてもう一本あれば、自分が「いまだ」と思う瞬間に開けられるのに。自分の予想がどのくらいの確立で当たるものか、このワインで試してみたいものである。


以上


目次へ    HOME

Copyright (C) 2001 Yuji Nishikata All Rights Reserved.