ラモネ | ||||||||||||||||||||||
試飲日 2000年10月8日 | ||||||||||||||||||||||
<味の印象> この色合いはやさしい。オレンジがかったうすい赤。ブルゴーニュはそもそも薄いが、このワインは、よりうすくした感じだ。色はうすいが、香と味は十二分にある。果実香に加えて若干薬草系のアロマはあるが、程よく甘い香。やや荒っぽさは感じるものの、しみじみとした味わいには安らぎを覚える。おいしい。さらりと飲めるが、上品さを兼ね備えている。飲み込んで思わず「うまい」と口ずさむ。ACブルゴーニュというクラスを優に超えている。すごい。コシュ・デュリーの赤と共通する趣がある。やはり世界最高峰の白ワインの造り手は、その赤も優れていた。 このワインは税込み2,600円である。ラモネが造るACブルゴーニュとしては非常にお買い得である。この価格を越えるワインは星の数ほどあるが、味で越えるワインはそう多くなさそうだ。幸運にも店頭で見かけることができれば、即買い占めるのが得策だ。 <ラモネ> ラモネは白ワインの第一人者である。世界有数の白ワインをシャサーニュ・モンラシェ村からリリースしつづけている。生産されるワインのほとんどが三ツ星レストランの看板ワインとして彩られている。三つの特級畑(モンラッシェ、バタール・モンラッシェ、ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ)は高くて手が出ないが、ACシャサーニュ・モンラッシェならばそんな言うほど高くはないので、ぜひ一度飲んでみたいものだ。もちろんお店にあればの話であるが。 ドメーヌ・ラモネは1994年に88歳で他界したピエール・ラモネによって世界有数のドメーヌに築き上げられた。1938年ボーヌでのワイン出品会において、あるドメーヌ元詰の先駆者との出会いから始まったとのことだ。世界的名声はその後息子アンドレを経て、今日ではジャン・クロードとノエルの兄弟に引き継がれている。この兄弟はマスコミへの露出度が高いので、最新情報も得やすいのがうれしい。 ドメーヌ元詰は、第二次世界大戦の数年前から始まったようだ。ピエールという男に視点を合わせると、時の刻み方がわかって親しみを覚える。ワインの歴史に比べドメーヌ元詰は最近になってからなんだと感じることができる。三代にわたって名声を保ちつつ、今もなおその実力を発揮するパワーには脱帽したくなる。巡りめぐって、私の口にまで運ばれた出会いに感謝である。 <ACブルゴーニュ> ブルゴーニュを名乗るワインはピンからキリまである。AOC法上その名を名乗れる場所に畑があり、法律に則った造り方の制限をクリアすればいいからだ。ぎりぎりでパスするワインもあれば、ラモネのように楽々とクリアするワインもある。同じ予算と同じ銘柄でも、造り手によってその感動が異なる。今回の感動はラモネを知るからこそ味わえるものだ。世界最高の白ワインの造り手は並みの赤にも手を抜くはずがないという消費者の勝手な思い込みにも、しっかりOUI(YES)と答えてくれる。 今回のワインを勝手に想像してみよう。ドメーヌ・ラモネはシャサーニュ・モンラッシェ村の造り手であり、このAOCは特級の白ワインと一級の赤を産出している。非常に素性のいい場所にドメーヌを構えているのだ。世界トップ評価の最大の要因はこの立地条件にある。このドメーヌの規模はさほど大きくない。畑はこの村を中心に隣接する村にしかない。つまりこのACブルゴーニュの畑は素性のいい場所のランク落としか、その名を名乗れない周辺にありそうである。 ワインは畑である。いいワインはいい畑から造られる。いい畑の隣近所もなんかうまそうだ。それはこのワイン・ドリンキング・レポートですでにドニ・モルテやコシュ・デュリーが証明してくれている。事実今回のワインはうまい。ラモネのワインはうまい。畑の場所を勝手に想像させる楽しさもラモネのワインは秘めている。 ブルゴーニュは造り手で選ぼう。つくづくそう思う。 以上 |