ムルソーの造り手大集合 | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年01月05日 | |||||||||||||||||||||||
<はじめに> 今回は特別企画です。素敵な某ご夫妻のご提供等により、ムルソーの偉大なる造り手コシュ・デュリとコントラフォンと、今最も注目を浴びるアルノーアントとミクルスキのワインを一堂にかいして、素敵なお正月を盛り上げようというもので、参加させて頂いた栄誉に感謝申し上げる次第である。ムルソーという偉大な白ワインの産地にして、トップ4とも目される造り手の「赤ワイン」を楽しもうという、素敵な、ちょっと変化球的な、希少品につき何で集められたのか不思議なくらいの宴と相成った。当日はドメーヌ・ドニ・モルテの1996ブルゴーニュ・アリゴテで喉湿しをして、最後はアントのムルソー1998とドメーヌ・ジャン・ジャック・コンフュロン(JJC)のロマネ・サン・ヴィヴァン1997で締めくくるという豪華な食卓であり、新年早々楽しいときを過ごさせていただいた。感謝である。だっさい。 <試飲順について> 畑のランク順にするか、造り手順にするか、価格順にするか悩むところである。ミクルスキとコシュデュリは数本飲んでいるので、イメージはつくが、アントとラフォンは初めてのためどうもって行くかが難しいところである。結局は造り手順を優先しつつ、価格と畑を考慮しての順番となった。この順番で正解だったと思う次第である。グラスはINAO似グラスを使用し、最後のラフォンはリーデルのヴィノム・エクストリーム シリーズの444/7等が使用された。 <アントのヴォルネイ・サントノ・デュ・ミリュ1997> 鮮やかな赤系果実味果実香。香はおとなしめであり、まだ立ちあがっていない。口に含めば赤系果実の皮の部分を想像させる清楚な味わいである。クラシックな辛口タイプであり、果実果実していない、きれいな味わいである。都会的な洗練さがある。ラストには血を感じる動物香もうっすら現われて、複雑なアロマがうれしかったりする。時間をかけてゆっくり味わいたい逸品である。 <ミクルスキのヴォルネイ・サントノ・デュ・ミリュ1999> アントと比べれば透明感のない茶色いルビー色で、エッジには低温浸漬を思わせるムラサキ色がある。香はもわんもわんする土壌香に熟した果実と剥き立てのマロン香がある。 口に含めば、果実の実の部分が熟熟したような甘味があり、ふくよかさを感じる。アントが都会的な透明感を持っているとすれば、ミクルスキは田舎ののどかな田園風景を空想させる。この田舎っぽさも愛される味わいの一つである。開けた瞬間から楽しめる逸品である。 <コシュ・デュリのオーセイ・デュレス1997> やさしい果実味が印象的で、都内某所の高級生鮮食料品売り場の獲れたての果物を、そのままワインにしたような高級感溢れる、やさしく上品な味わいである。甘味の中に貴賓さを演出するところが、コシュ・デュリの赤ワイン節である。いつ飲んでもおいしい名作である。ただし一昨年の夏に感じたアグレッシブさは無くなりつつあり、これ以上熟成させる必要はなく、今飲んで正解の味わいである。癒し系ワインの代表格。 <コント・ラフォンのモンテリー・レ・デュレス1997> ラストを飾るにふさわしい力強さである。上品な赤系果実味が濃縮されていて、モンテリーの枠を超えた偉大なコート・ド・ボーヌの赤である。リーデルの大きなグラスに入れても、へたることの無い味わいは、アペラシオン以上の構造的な骨組と濃縮されたエキス、そして控え目だがしっかりしたタンニンの成せる技であろう。ただし枠を超えたとはいえ、モンテリーには違いないので、その立場を熟知してこそ堪能できる味わいでもある。 <まとめ> 白ワインで世界に名をとどろかせる造り手は赤ワインでも個性を発揮している。四人の造り手を白ワインで決めるなら、優劣は試飲前に決定していて、興味に欠けるが、赤ワインという違うカテゴリーでの比較は、新たな発見につながり大変貴重であった。またヴォルネイ・サントノはACムルソーの中にある特異な畑で、コント・ラフォンやルロワも造っているので、ビンテージを揃えての大会も開催したいところである。ただしどこで売っているのか不明なため、いつの日か実現できればと思う次第である。 以上 |