ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年01月06日 | |||||||||||||||||||||||
<ラ・ターシュ> 抜栓後すぐバカラ社製ロマネ・コンティグラスへ。黒系果実味がちょうどいい具合に熟成していて、なんともやさしげな色合いである。薄くなく、濃くなく、足下に深紅のルビー色を携えつつ、ピノ・ノワールの一つの頂点を思わせる雅な色合いである。 香はすくっと立ちあがる勢いがあり、複雑さの中に黒系果実が熟したあとの甘味を想像させる。おが屑が徐々に湿りだし、腐葉土になっていくようでもある。黒トリフやきのこ、さらにはスパイシィーなブーケもある。そして全体として妖しげでオリエンタリックな風味が、まん丸の大きなグラスの中でさ迷っている。後半に現われたロースト香も怪しげな雰囲気に拍車をかけてくる。極上の香である。 口に含めば、角張ったところが無く、いい感じに力が抜けている。弱っているのではなく、重力に従うように、ただ時の流れに身を任せているようである。枯れ具合が絶妙である。滑らかで、深みのあるエレガントな味わいは優美としか言いようが無い。ごくりっと飲みこんだ瞬間に、鳥肌が静かに全身を駆け巡ぐる。細胞の配列も少し乱れたようである。 1992という残念な年の偉大な畑の、この歳の取り方には敬意を抱かざるを得ない。こんな熟成感は滅多に味わえるものではない。残念な年でもラ・ターシュはその存在感を大いに発揮している。さすがと言わずになんと言えばいいか。驚きの夜に感謝である。 <ロマネ・コンティグラス> 子供の頭ほどもあるロマネ・コンティ専用のグラスである。まん丸な金魚バチの上部をカットしたような形であり、例えるならば真冬にオープンカーで走り抜けても、座席は温かいままだよというような、香を丸で閉じ込め、唯一吸い口だけを開けているような形である。今回はバカラ社製を使用したが、リーデル社のそれは廃盤になったようで、見かけたことは無い。このグラスに入れて良いのは、ロマネ・コンティとラターシュぐらいだろう。普通のワインなら、この大きさに対応しきれず、ただの赤い水になってしまう恐れがある。 <感謝> 今回のスペシャル・ドリンキングは某氏と某氏夫人と某氏ジュニアたちと、某氏に感謝であり、この場を借りてお礼申し上げたい。 以上 |