ドメーヌ・デュジャーク | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年01月08日 | |||||||||||||||||||||||
<エシェゾー> 抜栓後すぐINAOグラスへ。液温19℃。品のある極上の桜色系ルビー色はデュジャーク色と命名しても良いほど特徴ある色彩であり、ピノ・ノワールが表現し得る最高レベルの色合いである。それはつまり、ワインの色で最も敬意を払われるべき色合いでもある。砂糖漬した黒系果実の甘いアロマがすくっと立ち込め、ほんわかほんわか細胞を刺激してくる。このアロマを求めていたのだ。熟しきったプラムを皮ごと、やさしくぎゅっと握り締めたような凝縮感とでも言えば良いのか、奥行きのある凝縮感と濃厚な味わいは、さらりとした感触と共に不思議な感覚に陥る。色が薄いのに味が濃い。味が濃いのにくどくない。くどくないからといって、薄っぺらくも無い。和食の椀物の「出汁」に通じるうまみ成分。すべての要素は相反するように思えつつ、見事なバランス感覚に、言葉を失う悦びに包まれる。 このワインは極上にして最高のエシェゾーであり、デュジャーク節炸裂の逸品である。時間とともにミルキーな深みも加わり、ロブマイヤーに入れてもへたることなく、優雅にして貴賓溢れる味わいを提供しつづける魔力に、すっかり我を忘れてしまったりする。このうまみ成分の充実ぶりと、永遠に続くと思われる余韻は、時の概念を一瞬止めるから不思議である。時間が止まった中で味わう、最高のワインである。デュジャークの1998特級ワインを味わうゆとりが最高の贅沢に通ずるものなのだろう。この1本を飲まずして、ブルゴーニュを語って良いものか。座標軸になるワインである。それはつまり、「デュジャークを語るには1998の特級を飲まなければ、始まらない」という某氏の言葉に相通ずる。なるほど、新生デュジャークの究極の味わいを体現しなければ、デュジャーク節の結論も出ないというものだ。 デュジャークは本拠地モレサンドニにおいて特級クロ・ド・ラ・ロッシュと特級クロ・サン・ドニも造っている。ここは一発奮起して飲みたいところである。そしてデュジャークは二人きりで1本を丸丸飲んで、デュジャーク節にとことん酔いしれてみたい。 ところでワイン王国No.13を読んでいて気がついたことだが、デュジャークの後継者クリストフ・モラン氏は昨年11月に他界しているという。どういうことか整理がつかないが、まずは某所の1998はすべて買い占めろということだろうか。ちっと気になる記事である。 以上 |