ジャン・ラフェ
試飲日 2002年01月10日
場 所    自宅     
照 明 白熱灯と蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOCワイン
生産者 Jean RAPHET (Morey-St-Denis)
Vintage 1999
テーマ 勝負
ワイン Charmes-Chambertin

<シャルム・シャンベルタン>
 抜栓後すぐINAOグラスへ。桜色が深みを増したような黒系ルビー色。エッジにムラサキはなく、透明感が印象的な澄んだ色合いである。グラスに注いだ直後は、ほこりっぽい甘いアロマが立ち上ったが、一瞬にしてなくなってしまった。鉄分を感じるミネラリーさに、果実本来の甘さが加わった上品な味わいである。柔らかい渋味が歯茎を乾かしそうで、湿らせたままでいる。若干冷たさを感じるためか、閉じ気味である。
 ここは時間を待つことにしよう。

 小1時間でワインの温度も温まり、ここからが本領発揮である。閉じていた香は、野生の黒系果実の新鮮さに加え、その果実が砂糖漬にされたような複雑な果実香が出てきている。さらに焦し香も加わって、決して華やかではないが、やさしい上品な香である。口に含めば、甘みがどんどん増してきた。そして、ふくよかな果実味が全体を覆ってはいるものの、しっかりとしたタンニンが歯茎に乾きをもたらし、要所要所を心地よく引き締める機能を持っている。品性というものをワインに求めるならば、このシャルム・シャンベルタンを提案したい。味わいにもロースト香が加わり、やさしい印象を受けつつ、長い余韻はうまみ成分の充実ぶりを伺わせる。ジュブレ・シャンベルタンの特級というよりは、モレ・サン・ドニ的な要素がかなりあるように思えるから不思議である。

 下司な言い方が許されるならば、アルマン・ルソーの「酒・男」的な味わいと、デュジャーク節(やさしい色合いと、複雑で華やかなうまみ成分)を、足して2で割って、価格をかなり押さえた感じのワインである。お買い得感があり、それでいて充実した味わいがなんとも心地よいワインである。

 このワインを飲むポイントは、温度にあると思われる。温さを感じる20℃あたりで飲むと華やかさが楽しめる。口に入れたときに若干冷たさを感じると、開くまでに時間がかかり、大勢で飲む場合は本来のうまみを引き出せないまま、飲み終えてしまう危険がある。冷たい温度ならば、今回のように時間をかけるか、デカンタの力を借りたいところである。目的は温度調整。やや高めの温度がおいしそうである。グラスの力を借りて、リーデル・ソムリエシリーズ400/7でゆったり頂くのも一興である。いずれにしても、このおいしさを引き出せたことにうれしさを覚えたりする。感謝。


<ジャン・ラフェ>
 今回の1999は従来型の地味なエチケットではなく、ドメーヌの玄関先の絵が描かれているタイプである。ジュブレ・シャンベルタン系はドメーヌの絵が、クロ・ド・ヴージョは国道74号線にあるラフェの門のイラストが描かれている。従来はこのバージョンはネゴシアンものであった。ある情報によれば、このワインはドメーヌものであるという。アメリカ・ノースバークレイ社のキュベで、アメリカ輸出用のものが日本に巡ってきたらしい。アメリカでは絵画バージョンの方が人気が高いらしく、このエチケットに統一されているという。エチケットにはDOMAINEの表記はなく、ノースバークレイ社専用キュベを意味するRESERVEの表記もない。しかし所有者・地主を意味するPROPRIETAIRESはあり、謎は深まるばかりである。しかし、味わいは極上なので、そんな情報は気にすることもないだろう。今度渡仏したときに直接本人に確認するまでは、目の前のワインを堪能すればいいだけのことである。


<余談>
 同時刻にクロ・ヴージョを開けている某女史に電話したところ、ヴージョも極上とのこと。近距離にして別々の場所でラフェを共有するのも悪くなかったりする。


以上
 


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