ミッシェル・ロラン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年01月11日 | |||||||||||||||||||||||
<ブルゴーニュ・ロゼ> 抜栓後すぐINAOグラスへ。輝きのある薄いオレンジ色。若干黄色が入り、茶色も見受けられる。まさにエチケットのMichel Lorainのサインを薄くしたような色合いである。パウダーっぽい香にはバニラ、アンズ、オレンジの皮があり、時間と共に甘みのあるバニラが強調される。とろみたっぷりの飲み応えは、飲み込むのに苦労するほどで、しっかりした奥行きすら感じる。余韻も長い。甘みの中に上品な苦味も持つ。重めのソースを使った料理にも負けることのない構造。目隠ししたままでは、ロゼとは思わないだろう。 当日は穏やかな日のため、夜になっても気温が下がらず、外気温では思ったほど冷えなかったが、その温度が功を奏した感じで、ベストな味わいである。ロゼの適温である10℃では飲みやすさはあるものの、甘いアロマは出てこないだろう。20℃あたりでは、味がぼやける可能性が大きい。だいたい16℃前後かと推定される温度がベストである。ただし若干酸味が弱いので、きりりとした味を求めるならば、かなり冷やす必要もあるかと思われる。冷やし目の温度からスタートして、徐々に温度が上がっていく過程を楽しむのも、このワインの楽しみだろう。 抜栓後30分でこのワインは魅力的な味わいの域に達し、しばらくはその味わいを持続する。例えばレストランでワインリストを眺め、予算の関係でこのワインを選ばざるを得なかったとき、思わぬおいしさに、男の株を上げられそうである。料理との相性も良好で、なおかつワイン単独での深みもあるからである。そして赤にも白にもないこの独特の色合いが、素敵な夜を演出してくれるに違いない。レストランが欲しがる意味がわかる。このワインを飲んだ人、薦めたソムリエ、料理を作った人、全員の笑みがレストランに溢れているに違いないからだ。感激の一杯である。 <ミッシェル・ローラン> 三ツ星レストランの天才シェフが、ワインへの挑戦のひとつに選んだワインである。ミッシェル・ローランといえば醸造コンサルタントとしての地位も確固たるものがある。今回のブルゴーニュには赤・白・ロゼの3種類があり、ランクはすべてACブルゴーニュである。世界に名を馳せる料理人が見たてたワインは、飲む前から興味をそそられる。しかし絶対数が少ないため、その手の筋に縁故がないと、まずお目にかかることすらできないという。なぜ飲めたのか不思議であるが、結果オーライである。 <ピノ・グリ> 今回のロゼの葡萄品種はピノ・グリである。黒葡萄ではなく、赤葡萄に区分けされるため、ロゼにしても赤みが出ず、独特の色合いになったのは、そのためのようである。アルザス地方の主品種でもあるが、ブルゴーニュでは全く珍しい。とろみ感も品種の個性であり、このロゼにも発揮されている。 <コート・サン・ジャーク> シャブリの北西に位置し、ブルゴーニュの最北端のアペラシオンである。赤白ロゼの3種類が認められていて、ピノ種を使い、コート・サン・ジャークの地名を明記することでACブルゴーニュを名乗れる。ピノ種とはつまり、ピノ・ノワール、ピノ・グリ(別名ピノ・ブーロ)、ピノ・ブランであり、ピノの亜種であるシャルドネも入ると思われるが、追跡が必要である。 以上 |