ドニ・モルテ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年01月14日 | |||||||||||||||||||||||
<ジュブレ・シャンベルタン オー・べレ> セラーから取り出し、抜栓後すぐINAOグラスへ。深みのある濃い黒系ルビー色。エッジに紫はないものの、表面に浮いた泡にはその面影が見られる。甘味を帯びた乾いた土壌香がほこりっぽく立ち込め、グラスから溢れんばかりの勢いがある。チョコレート、トリュフ、黒系果実が複雑に絡み合い、なんともふくよかな香りである。口に含めば、しっかり辛口である。香りがもわんもわんと膨らむ印象を受けるのに対し、味わいはしっかりと端正である。渋みも心地よく歯茎を刺激し、深く奥行きのある味わいを構成している。時間とともに現れる焦がしたカカオに、荒荒しさを上品なタッチで纏め上げた味わいが加味され、なんとも豊かである。余韻も長く、心地よい。この味を、村名格で出されると泣いてしまうほどの感激に包まれる。時間がたっても衰えを知らないうまみ成分に、思わずグラスを見つめたままでいる姿があったりする。 さすがドニ・モルテである。最近ACブルゴーニュのシャルドネとアリゴテしか飲んでいなかったが、さすが赤を造らせたら上から数えて何番目と指を数えたくなる。かつてはブルゴーニュ赤ワインのトップ5にランクインされていたが、この頃は順位を落としているという。しかしである。この村名ジュブレを味わえば、まだまだ上位にランクインされていることが実感できる。男っぽく荒荒しいジュブレ・シャンベルタンをして、この上品な味わいこそドニ・モルテ節である。 また、今回のワインは1年以上前に試飲したものと同一ロットであり、購入後1年ほど自宅セラーで熟成させたものである。当時の印象は「ぼちぼち」といった感じであったが、1念という時を経て、この熟成感がたまらなくうれしい。時の経過はワインの色に深みを増して、ムラサキを消していく。より趣のある味わいへと変化している。同じワインを時間を変えて楽しむ悦びを知ってしまった。感謝である。そして、ほかのビンテージの熟成具合も気になるところである。 <2000年11月当時> 紫がかった黒系の赤。濃い色合いである。アロマは華やかに立ち込め、キュッと締まった上品さを兼ね備えている。飲み応えも十分あり、タンニンと酸のバランスも絶妙だ。鼻から抜く香はチョコレートをまぶしたバナナを彷彿とさせる。うまみ成分が心の奥に到達する感触は何度経験しても心地よい。グラスのワインも残り少なくなった頃、ブーケは焦がしたチョコレートに。さすがドニ・モルテである。 このジュブレシャンベルタンの村名畑指定は5月・8月に続いて今回で三度目だったが、今回が最もうまかった。三本とも同一ロット、同一セラーでの瓶熟。この味の差は熟成のためか、体調のためか、室温の差か、開け方か、注ぎ方か結論はでないが、この味の差こそブルゴーニュの楽しみである。 以上 |