国立醸造所
試飲日 2002年01月15日
場 所    神奈川県某所  
照 明 蛍光灯
種 類 ドイツ ラインガウ地方QbAワイン 
生産者 Sttasweingüter (Elville / Deutschland)
Vintage 1978
テーマ QbA リースリングの熟成
ワイン Rauenthaler Steínmächer

<ラウエンターラー・シュタインマッヒャー>
 抜栓後10分の後INAOグラスへ。液温22℃。透明感のある金色で、黄色に近い色合いである。エッジの透明感はかなりの幅を持ってグラスの中に存在している。コルク臭はほとんど消えていて、熟れた蜂蜜香とアンズ系のドライフルーツ香が複雑に混ざり合い、全体として澄みきった空気の中に心豊かなブーケが満たされる印象を受ける。口に含めば、思いのほか酸がある。やさしい甘口の味わいに、要所要所を閉めてくるキレも備えている。キレのあるふんわりとした味わいである。極上の滑らかさには、ひっかかるところがなく、全身の力が抜けていくような心地である。雑味がなく、きれいなリースリングの熟成がここにある。静まり返る会場に凛として存在している。誰もが言葉を発することなく、ただ一杯のリースリングの余韻に浸っている。飲み干したあとに残る甘味がうまみ成分と絡み合い、不思議な完璧さに心乱れたりする。味わう毎に唾が溢れ、鳥肌が全身を駆け巡り、背筋がきしむ。未表記ながらアルコール度数は10度を切ると思われるが、なぜかすごく酔う感覚がある。24年の歳月を経てもなお酸が衰えず、この比類のない味わいに感激するより手立てがない。QbAというフランスでいうところのVDQSにあたるワインにして、この完璧な白ワインを絶賛する言葉が発っせないもどかしさ。言葉はまったく不要だが、この感動を言葉で伝えたい。ドイツワインの魅力が、ここまで迫るうれしさと危うさ。ドイツのそこはかとない魅力を振り切れない自分に気づいたりする。貴賓種と称されるリースリングの完璧な熟成と、ドイツワインの実力を垣間見られただけでも幸いである。

 1982年国立醸造所セラー蔵出し。
 Amtl.Pr.-Nr 33050 018 79
 

<QbAワイン>
 Qualitätswein bestimmter Anbaugebiete(上質酒群)の略で、ラベルにはQualitätsweinのみ記載されている。トロッケンベーレンアウスレーゼなどの肩書きがあるQmPの下にランクされるワインである。通常このクラスは補糖が許されるので長期熟成には向かないが、ラインガウのトップ3に位置する国立醸造所が造ると、とんでもない熟成をうる。このワインはQbAの例外的名品で、市場での流通はほとんどなく、あっても非常に高値らしい。某氏がドイツに行っときにお土産で買ってきてもらえないか、今から相談したい逸品である。
 また、今回のワインはラインガウ地方ラウエンタール村シュタインマッヒャー畑産であるが、ドイツ語は読めないところが辛かったりする。そしてドイツのQmP銘醸ワインは非常に高いので、財布にも厳しかったりする。


以上
 


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