コルディエ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年01月26日 | |||||||||||||||||||||||
<ピュイイ・フュィッセ オー・メテルティエール> 抜栓後INAOグラスへ。深みのある黄金が輝いている。とろける蜂蜜香がふくよかである。トロピカルフルーツ、花蜜、燻し香と続き、一瞬だがミルクも感じられた。油脂分がとろみ感を与え、辛口の味わいに深みのある甘味が加わり、とても豊かな味わいである。二日ほど前に試飲した時に強烈に感じたミネラルは温度の影響からか今回はあまりない。マコネ地区のピュイイ・フュイッセとは思えない味わいに、コート・ド・ボーヌの銘醸を意識させている。このワインは極上である。ふっくらとした印象を受けるため、万人受けするタイプかと思われるが、同じクラスのワインが2,3本買える価格のため、なかなかサービスするのも難しそうである。しかしながら史上最高のピュイイ・フュィッセである。 <ピュイイ・フュィッセ レ・ヴィーニュ・ブランシュ> 抜栓後すぐINAOへ。メルティエールとほぼ同一の色合い。グレープフルーツを煮込んだような甘いアロマが印象的である。時間とともに硫黄に近いマロン香も立ち上がってくる。口に含めば、しっかり辛口な味わいは、バランスに長け、ぐいぐい押し迫ってくる迫力がある。しっかりした酸が全体を引き締め、端正でありながら、ふくよかさも持ち合わせた逸品である。ミネラル分も多く、つばがあふれるほどのうまみ成分と長い余韻が心地よい。ドメーヌ・ルイ・ジャドが醸造担当するドメーヌ・デュック・ド・マジャンタのシャサーニュ・モンラッシェを彷彿とさせる味わいは、この地区のアペラシオンを超えた深みをもたらしている。前者と比べれば、ワインの潜在的な能力は、こちらに軍配が上がるが、一般受けするかどうかは飲み方次第である。この銘醸を「きついワイン」で終わらせてはいけない。個人的には、リーデルのシャルドネ(400/0)を使えば、抜栓後30分位で極上の味を引き出せそうである。 <ピュイイ・フュィッセ ジュリエット・ラ・グランド> Top of 1998 抜栓後すぐINAOへ。より深みのある黄金色。柑橘系のインパクトの強いアロマが立ち込めている。香水とバターも豊かに香ってくる。口に含めば、圧倒的な力強さである。表示以上に高いアルコール度数と、途方もないほどの濃縮感と、強い酸が長熟タイプを裏付けている。甘いアロマに反して味わいは本格的な辛口であり、スティルワインというよりはリキュールのような印象を受ける。時間とともに燻し香やミルクキャンディーのような甘味のある香りやバニリンオークも立ち、複雑さは前作2本の比ではない。リースリングのアウスレーゼ以上にみられる貴腐系の味わいもあり、一瞬頭の中が混乱に陥った。リーデルのリースリンググラス(ラインガウ400/1)に入れて味わえば、確かにこのワインがシャルドネから造られており、リースリングでないことは証明される。しかし、一瞬たりともぶどう品種を超えた味わいが心に刻まれたりする。 モンラシェをとことん飲んでいる同席者によれば、一流の造り手(超一流は除く)によるモンラッシェと相通ずるものもあるという。飲み頃が2040年という情報もあり、なるほど飲めば納得である。そしてこのワインこそが、1998年のブルゴーニュの白ワインのトップ評価であるという事実に納得せざるを得なかったりする。コント・ラフォンの1998モンラシェでもこの味わいには追いついていない。ただし絶対数が少ないので、次回出会えるかどうか、かなり厳ししそうである。ちなみにワイン名のジュリエットは最近引退したロジェ氏の孫娘の名である。 パーカーズポイント 94 (但し最新情報では99) 2001年12月 ドメーヌ・セラー蔵出し <コルディエ> プィイイ・フュイッセの造り手にして、ブルゴーニュトップ評価を受けるドメーヌで、ロジェ氏の跡を継ぎ、息子のクリストフが当主である。1haあたり10hlという極めて少ない収穫量から極上のピュイイ・ヒュイッセを生産し、特にジュリエット・ラ・グランドは数年に一度しか造られないという(最近では1990 1996)。パーカーもこの例外的なワインを大絶賛の言葉で紹介し、かのギュファン・エイナンよりも評価が高かったりする。 以上 |