モーゼルラントぶどう生産者協同組合中央醸造所 | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年02月01日 | |||||||||||||||||||||||
<ヴェーレナー・ゾンネンウアー 肩書:アウスレーゼ> 抜栓後リーデル社リースリンググラス(400/1)へ。とろける黄金色とも表現したくなる実に品のいい琥珀色である。エッジに広がる透明感が時の経過を感じさせている。熟れた蜂蜜香が静かに香り、心配されたコルク臭はほとんどない。口に含めば、ググッとくるリースリングの味わいである。上品なかすかな甘味が、鼻の奥をくすぐる感じはドイツワインならでは。鼻から抜くとやや樽を感じるブーケが心地よい。酸味が弱い分飲み込んだ後の余韻は短いが、口にある間はしっとりと旨み成分を堪能できる。26年の歳月を得て、かなり危ういバランス感覚であるが、何とかへこたれず、アウスレーゼの実力を思い留めている感じがしている。痛むことなく今日まで持ちこたえた奇跡に感激はやまない。 このワインの飲み頃はいつだったのか。グラスをぐるりと回しただけで崩れていきそうな微妙な感覚。果たして飲み頃は過ぎているのだろうか。個人的には今でも飲み頃であると断言したい。確かに出荷当時は出来立てのフレッシュ感が鮮明だっただろう。力強さもあったに違いない。されどこのワインは歳月を重ねた分、静かなる旨みをグラスに漂わせている。年数が経たないうちは果実味に押されて表面に現れない、しっとり感が主役の交代をアピールしているようにも思える。フレッシュな果実味をビン内に留めようとして、静かに失いつつある様もまた、ワインの楽しみである。最新ビンテージと今宵のビンテージを頭の中で繋げれば、ドイツの熟成ラインが一本の線となって現れてくる。いいワインはいつ飲んでもおいしいように造られている。どのタイミングで開けられるかは、飲み手とワインの出会い次第である。今宵の出会いに感謝。 20年以上前の販売価格は8000円。今、買えるとしたら5万円オーバーらしい。価格を聞いてあらためて出会いに感謝である。 ところで、数日前の国立醸造所のQbAワインと比べれば、今回のアウスレーゼは残念ながら数歩譲る味わいではある。格付けは今回のワインが数段上に来るが、QbAの造り手が超一流なため今回の逆転現象になったのだろう。国立醸造所が同じランクのワインを造るなら50万円では到底購入できないのだから、これは遺憾ともしがたかったりする。ドイツも造り手の実力がワインの熟成にも価格にも反映している。 <畑について> モーゼル・ザール・ルーバー地方のモーゼル川流域に位置する銘醸畑である。ウォーレン村にあり、畑の名は「日時計」である。ラベルにも日時計があしらわれている。ドイツ語は読めない上に花文字で飾られているため、解読にはシックハックしたりする。こういう時は、講談社の「世界の名酒事典」が役に立つ。 以上 |