ジャイエ・ジル
試飲日 2002年02月01日
場 所    神奈川県某所
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOCワイン
生産者 JAYER-GILLES (Magny-Les-Villers)
Vintage 1998 et 1999
テーマ ジェイエ・ジル節
ワイン Bourgogne Hautes Côte de Beaune

<1998 オート・コート・ド・ボーヌ>
 抜栓後すぐINAOグラスへ。まどろんだ黒系の深いルビー色。黒系果実香に栗を思わせる湿った土壌香と樽香が強く入り混じる感じで、やや重たさを感じる。時間と共にコーヒー香メインのジャイエ・ジル節に変わるので、好みに応じて抜栓してから少し置いたほうがいいかもしれない。口に含めばタンニンもほどよく、酸味にも支えられ、しっぽりうまい。なめらかな味わいは豊かな奥行きに品を与え、しみじみとしたおいしさに包まれる。さすがオートコート・ド・ボーヌの第一人者である。ただし、甘めの基調がこじんまりした骨格になじんでいる印象があるため、本格的な構造を持つ正統派辛口赤ワインが好みの場合は、「やや違うかな」とも思われる。個人的には、この味が食卓にあるだけで幸せになってしまうので、常にセラーにキープしておきたい逸品である。


<1999 オート・コート・ド・ボーヌ>
 1998とほぼ同時に抜栓して、すぐINAOグラスへ。1998と1999を見比べながらの試飲である。ムラサキが強い黒系果実の深い色合いである。香りの勢いが1998の比ではない。甘い黒系果実香のアロマがグラスから立ち上るかの勢いである。香りの要素も複雑で、熟した果実に栗、ココア、カレースパイスが絡み合い、時間と共に温かみのある動物香がコーヒーに混ざる感じがたいへん心地よい。口に含めば、なめらかな旨み成分がほのぼのうまい。余韻も長く、1998をふた周りほど大きくした印象は、この地方の実力値を大きく超える味わいである。コート・ド・ニュイ地区の村名クラス以上の悦びは、低く見られがちなこのアペラシオンに喝を入れてくれる。神の手をもつアンリ・ジャイエの血をひきつつも、完全に違った味わいを常に高い位置で提供するジャイエ・ジルは、強烈な存在感を見せ付ける。


<まとめ>
 同一アペラシオンのビンテージ違いは、ビンテージの比較ができて楽しい作業である。巷の噂どおり1999年はかなり偉大なビンテージになりそうである。2000年の不出来がささやかれる中、1999に俄然注目である。ただし、すでに高価格になってしまっているので、注目しているだけに終わりそうでもある。1998もそう悪くはないので、今がねらい目かもしれない。ちなみに今回のワインの価格は1999の方がひとまわり高い程度の差であった。両者とも4000円前後なので、今から走ってお店に駆け込もうかな。


以上
 


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