ベルトラン・アンブロワーズ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年02月15日 | |||||||||||||||||||||||
<コルトン・ロニェ 1998> 抜栓後INAOグラスへ。液温20.5℃。注いだ直後に現れる表面の泡に若干ムラサキがある黒系果実味果実香。注いだ直後に甘く焦がしたチェリー香が一瞬あったという声が大きい中、油断している間になくなってしまった。香りは急激に沈み、ようやくおが屑にも似た木の香りが漂うだけである。口に含めば、若いボルドーに似たタニックな渋みが直線的に感じられる。舌の先端をきつく刺激し、舌全体に渋みを伝える味わい。歯茎も乾きがち。明らかにまだ開けられることを想定していない味である。ボルドーチックという言葉が頭に浮かぶ。アメリカでブレイクした理由も分かるような強さである。黒い果実味が基調で、鼻から抜く瞬間に媚びない甘味が探せるとうれしくなってくる。鉱物的な味わいもこのアペラシオンの特徴を醸し出す。細かい澱もあるが、抜栓前にボトルを立てておけば、そんなに気にするほどの大きさではない。 グラスを回すことなく静かに時を待つ。そうすると徐々にではあるが硬く閉ざした懐を開いてくる。砂糖漬けの果実が現れて、バニリンオークも恥ずかしげに顔を出し、ついには焦がし香も感じられた。ラストは、あまうまタニック(注)とでも表現したくなる状態で、特級にふさわしい充実感が心地よい。コート・ド・ニュイのワインとは明らかに違う味わいが、コルトンを飲んでいるという思いに重なってくる。 この特級コルトンは、熟成させて楽しみたい。今から飲んでも十分おいしいが、まだ時間の経過毎の味わいに波が大きく、隣に注がれたグラスでさえ瞬時に味わいを変えからだ。どんな味が展開されるか、一本じっくり勝負するには楽しいワインであるが、食事と共にゆったり楽しむには、自分のイメージした味が出せないので結構難しい。まだこなれていないアンバランスさである。しかしワインの強さによって品良く覆い隠された果実味の豊かさは、なんとも魅力的であり、あと数年待てば、ストレートなおいしさがダイレクトに伝わってくることだろう。そんなに待てなければ、デカンタして1時間ぐらい待てば、丸みを帯びた極上のコルトンに出会えそうな印象である。 畑はコルトンの丘のラドワ側にある。 2001年12月セラー蔵出。 (注) あまうまタニック(造語) = 甘い味わいに旨み成分が絡み、充実した渋みとともに長く余韻が楽しめる味わい。 以上 |