ポール・ガローデ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年3月20日 | |||||||||||||||||||||||
<ムルソー 古木 2000>
室温のまま抜栓後INAOグラスへ。推定温度23℃。意外に薄い金色はやや緑がかって輝いている。洋ナシと白桃のアロマが上品にたち、香りからしてグレートビンテージ連想させる。口に含めば、やや温さを感じる温度ながら、しっかりした酸味に支えられた味わいが、心地よい。ふくよかさの中に濃縮感と新鮮な果実味と、そしてなにより上品さを感じることができる。グラスに注いで20分程度経過した頃からこの村特有の燻したバターが出てくるので、白桃系の味わいが好みなら、グラスに注がれたら比較的短時間に飲み干すのが良いだろう。二杯目は冷たさを感じる程度に冷やして再チャレンジ。冷やしたことでやや苦味を感じるが、引き締まったふくよかさもまた一興だ。今飲んでかなりおいしいが、あと5年ほど待つ忍耐力があれば、また違った味わいを見せてくるだろう。非常に楽しみな逸品である。無理を承知で似た味わいを探せば、1999のアルノーアントを彷彿とさせたりする。また同じポール・ガローデの前年作1999を一回り力強くさせたような味わいを想像できる。 <ピュリニー・モンラシェ> やや冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。色合いはムルソーとほぼ同一系統。香りは閉じていて微かにハニー香があるかないか程度だ。口に含めば、びっくりするほどの酸。この村の特徴に「鋼のような酸」があるが、まさにこのピュリニーにはそれがある。強靭な酸に守られて、このワインの旨み成分を引き出すには熟成という時間を活用するか、かなり冷やしてからデカンタする方法も考えられる。いろいろ飲み方を考えてみたくなる。ワインから想像力の勝負を持ちかけられたようで、それに乗らない手はないだろう。香り・味わいともに硬く殻を閉ざしているが、今でもそのおいしさを隠し切れずにいるもどかしさを開放する技量を持ちたいものだ。このあふれんばかりの果実味をシャープな酸で引き締めた味わいは、偉大な年ならではだ。非常においしい逸品である。 このピュリニー・モンラッシェはワインとしてのポテンシャルはムルソーに大きく水を開けている。同じ村名クラスにして、これが特級がある村と1級どまり村との実力の差なのだろう。このワインの本領は10年後からかもしれないが、今飲んで強烈なインパクトを楽しめるので、出会った時が飲み頃でもある。1992年のブルゴーニュの白は今、大変な騒ぎになっているが、1992年ビンテージも1994年ごろはこんな味わいだったのだろうか。当時の味を知る人とこのワインを酌み交わせば、2000年という偉大な年のストーリーを1992のそれから連想することも出来るかもしれない。一杯のワインを通して、いろいろな関係や事柄が広がっていく予感がしてくる。 2000年の白に俄然注目だ。 以上 |