テタンジェ
試飲日 2000年11月7日
場 所    都内某所     
照 明 白熱灯
種 類 フランス シャンパーニュ産AOCワイン
生産者 TAITTINGER (Champagne REIMS)
Vintage 1990
テーマ 伯爵のシャンパン
ワイン Comte de Champagne Blanc de Blancs


<味の印象>
 ガツンとくる強烈なガス圧。飲み込んだ後に新鮮な果実味と切れのいい酸は絶品。この喉を刺激する圧力は、快感である。凄い。完璧である。焼き栗の香がとても印象的。時間と共に焦がした感じはなくなり、極上のマロンフレーバーが私を圧倒する。味も文句のつけようがない。香と同じ系統の濃厚な味わいは感激の極みである。力強く、それでいて優雅であり、上品である。金色に輝く液体に立ち昇る無数の筋状の泡を見つめるとき、他に何の望みがあろうものか。何もいらない。ううう。最近シャンパーニュのすばらしさを堪能させてもらっているが、ずば抜けてうまい。あああ。
 しかも今回のグラスはその名もテタンジェグラス。テタンジェ・コレクションと同じ模様が施され、閉じ気味の開口部がシャルドネの貴賓ある香を豊かに満たす。このグラスはINAOでは表現し得ない魅惑の味わいを美しく語りかけてくれる。


<ワインの特徴>
 100%グランクリュ畑であり、シャルドネ100%である。1990年はシャンパーニュにとってもグレートビンテージである。今回のコント・ド・シャンパーニュ ブランドブランはアーティストによる装飾が有名のテタンジェ・コレクションと並びテタンジェの大名醸である。ちなみに1988年のコレクションは今井俊満。
 ワイン名は同社所有のチボー伯爵の邸館にちなんだもので畑名をワイン名にできない苦肉の策。(シャンパーニュで畑名を名乗れるのはクリュグ社のクロ・デュ・メニルとフィリポナ社のクロ・ゴワセのみ。その辺の逸話については別の機会に)
 007のジェームズ・ボンドのお気に入りでもある。テタンジェ社最高銘柄というよりは世界の最高級品。日本人にとってTAITTINGERをテタンジェと発音するのは、なかなかできない。読みづらいシャンパーニュとしても有名。

 15,000円は安いか高いか。まずはそんなことを考える人間には縁のないワインである。ちなみに名手によるブルゴーニュの特級白ワインはこの価格では買えない。そう考えれば、シャンパーニュの最高傑作は決して高い買い物ではない。人生最大の夜に一本欲しい。そんな夜のためならば、出せない金額でもない。同じ予算でこれ以上の感激はそう易々とは味わえない。


<テタンジェ社>
 シャンパーニュはランスが本拠地。パリのホテル、クリヨンとコンコルド・ラファイエットやクリスタルガラスのバカラ社、ド・ルーブル銀行を傘下おさめるフランスきっての大企業である。創立は古く、1734年。フランス革命の前である。年間400万本を販売し、250haもの自社畑を所有し、生産量の半分をまかなう大メーカー。
 参考までにコント・ド・シャンパーニュのロゼは100%ピノ・ノワールから造られている。セラーは予約なしで見学できるが20フランの入場料が必要。

以上


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