クリュッグ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年04月26日 | |||||||||||||||||||||||
<味わい> よく冷やして抜栓後すぐロブマイヤー・バレリーナグラスへ。光り輝きながらもかなり濃い目の金色に木目細かい美しい泡が幾筋も沸きあがってくる。シャンパーニュ特有のトースト香が、はじけた泡から立ちこめてくるかのようだ。果実味も豊かこの上なく、重めの飲み口にしてすっきりと爽やかに抜けていく爽快感とあとに残る長い余韻。この美しいシャンパーニュはふくよかな気品とともに、とてもエレガントなひとときを約束してくれる。濃厚なのにくどくなく、きりりと締まった酸味とあふれんばかりの果実味。そしていつまでも続く美しい泡にしばらくは時間を忘れてうっとりである。 <ところで> そもそも完璧な保存状態が約束されているこのクリュグに落ち度があるはずがない。世界の成功者の誰もが釘付けになる「憧れ」を、運良くこうして眺めている幸せ。クリュグ。なんて良い響きなのだろう。KRUGである。そんなクリュグに問題点があるとすれば、それは価格だろう。価格を気にするような人間がクリュグを口にしてはいけないことは、じゅうじゅう承知している。クリュグはステイタスの象徴であり、おれもついにココまで来たかと自己確認するための酒であるからだ (と思っている。ただしそれにはシチュエーションがあって、レストランで小粋に頼めた場合に限ったりする・・・)。 クリュグはやはり高い。今回は数名集まっての試飲だったが、本来シャンパーニュは一人ないしは憧れの女性と二人きりで一本飲み切りたいものだ。シャンパンは喉で飲め、である。クリュグに限らないがシャンパーニュの魅力はボトルの半分以上を飲まないと理解できないからだ。この地方の銘醸は、ただおいしいだけではない別の世界の入り口を持っていて、その間口はことのほか狭く、大人数で押しかけるには無粋だったりする。大人数で押し寄せては、その入り口で待っている小悪魔が向こうへ去ってしまうではないか。この小悪魔の正体は、偉大なシャンパーニュを一人で飲み干したことがある人になら、ああと頷いてもらえると信じていたりする。 トップ・オブ・シャンパーニュ。クリュグ本来のおいしさは一本飲み干してからでないと、伝わってこないし、伝えられない。今度は二人きりでクリュグの扉をノックしたいものである。いつになることやら・・・とほほ、である。 ところでクリュグをこよなく愛する人を称してクリュギストというが、世界三大クリュギストは「ココ シャネル」「ヘミングウェイ」「マリア カラス」という。四番目の席はなんだかとっても遠い世界にあるようだ。今回はクリュグの息遣いだけでも堪能できたのだから、そんなに多くは望むまい。千里の道も一歩から。大人数で堪能させていただいたクロ・デュ・メニル以来ほぼ一年半ぶりのクリュグの泡に、今宵クリュギストへの記念すべき第二歩が刻まれたことに感謝である。 ちっともドリンキングレポートになっていないのは、毎度のことということで。 以上 |