高木酒造 | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年05月09日など | |||||||||||||||||||||||
<はじめに> 高木酒造が造ったシェリー風味のワインリキュールである。この造り手の名を聞いて、はっと思った人は日本酒党だろう。そう、何を隠そう高木酒造は日本酒界のヒーロー的存在なのだ。「十四代」といえば、今では泣く子は黙るか知らないが、相当のインパクトを持って一般市民にさえその名を轟かせている。その高木酒造が面白い酒を造っていた。ワインリキュールなので、このWINE DRINKING REPORTに掲載して良いものか一瞬悩んだが(註)、細かいことは置いといてさあ飲んでみよう。 <味わい> 抜栓後、実は4日ほど経っている。抜栓当日は相当酔っていたために今宵改めてのテイスティングということにした。INAOグラスにトクトク注ぐと、樹木を焼いて水で溶かしたかのようなそんな色合いだ。茶色といえば言えなくもないが、干し葡萄のエキスを絞ったようでもあるし、エッジはやや黄色みがかり、ともかく不思議な色合いが漂っている。ウイスキーやブランデー系統の樽のエキスが染みこんだ色合いにも似ている。香りには黒蒸パンのケーキにチョコをあしらったような甘味があり、樹脂の苦味と複雑に交錯しているかのようだ。シェリー香に近いといえば言えなくもないか。口に含めば20%のアルコール分をそのまま感じ、鼻から抜く香りにはカラメル、バニラが際立っている。辛口にして、カラメルの甘さが印象的だ。まさに食後の一服にグラス一杯だけ頂きたい味わい。ナイトキャップにも変則的に使える味は、ちょっと驚きだ。うまい。欲を言えば、後味に残るざらつく甘味がスッキリ消えると、歯を磨いた後にも飲めるかなと思ったりもする。そして余韻に水っぽさが残るのは目をつぶってそのまま寝てしまえば良いのだろう。きっとそうだ。しかし、うまいな。なんだこれである。 <なんだこれ> ボトルの裏面によれば、葡萄品種はパロミノ種、ペデロ・ヒメネス種、モスカテル種で、シェリー風味に仕上げているという。若き15代目(註)は、どえらい酒を造っていた。なんだよこれ、といいたくなる酒だ。天才が造る異国の酒もまたうまいっすね。この酒も十四代に負けず劣らず入手困難という。なぜこうして楽しめるのか不思議であるが、あと何日も楽しめそうなのでうれしい限りだ。この色合いを称して、アレクサンド ライトの輝きという。粋だね。 註1 リキュールワインは別名、酒精強化酒。スティルワイン、スパークリングワイン、アロマタイズドワインとならんでワインの4つのカテゴリーのひとつ。したがってワイン・ドリンキング・レポートに登場しても何ら問題はない。ワインだからだ。 註2 ホームページでいろいろ調べてみると14代目の当主が中心となって造っているという。DRCの共同経営者が来日した際サービスされたようで、そのときの彼らの絶賛ぶりも紹介されている。じつは本当に凄い酒らしい。 以上 |