エゴン・ミューラー | ||||||||||||||||||||||
試飲日 2000年11月5日 | ||||||||||||||||||||||
<味の印象> おいしい。しっかりした酸味と甘さが絶妙なバランス感覚で飲み手を楽しませてくれる。さわやかな飲み応えがなんともうれしい。甘さにベタツキ感がなく、すっきりしたやさしさがある。そのために食事にあう。今回は日本一の天婦羅屋さんで、食事を締めくくるちょっと手前で飲んだが、このバランスなら食事を通して飲むこともできるだろう。シュペートレーゼというランクが、食事とあわせることを可能とし、グレートビンテージであるが1999年という昨年のワインであるために、懐にもやさしく、素敵な食卓を盛り上げてくれた。このワインがある食卓には拍手すら起こるだろう。実際飲み込んだ瞬間に拍手してしまったが。おそらくランク上のアウスレーゼ以上ならば、その甘さゆえ食事には合わせづらく、懐も一気に寂しくなりそうだ。余談ながらアウスレーゼ以上には金のキャプシールが用意されているものがあり、とても偉大であり、無茶うまいらしい。 前日飲んだベルンカステラー・ドクトールのアウスレーゼに比べその甘さが酸味の後ろに控えめだ。グレープフルーツに極上の砂糖を塗って食べたのがドクトールのアウスレーゼなら、今回のシュペートレーゼは砂糖をつけて一度掬ったスプーンでもう一度食べた感じである。ほのかだが、しっかりした味わいに頬が緩む。とてもおいしいワインである。 アルコール度数は8.5%と低く、そのあたりにうまみの秘密が隠されていそうだ。 またエチケットには1900年にパリで、1904年にセントルイスでグランプリを受賞した旨の記載が金の文字で飾られている。 <シャルツホフベルガー> ザール地方屈指の畑である。開墾された山という意味。複数の所有者がいるが、このエゴン・ミューラー家は別格中の別格。ドイツを代表し世界最高峰のワインである。エゴン・ミューラー家はこの畑を1797年7月に競売により落札し、最良部の7haを所有している。甘口白ワインが世界の主流であった頃に、世界の頂点を極めた由緒正しい畑である。 以上 |