ビュフタフ・アドルフ・シュミットシュ | |||||||||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年05月14日 | |||||||||||||||||||||||||||||
<ベライヒ・ニュアシュタイン> 冷蔵庫で3時間ほど冷やして抜栓後1分でINAOグラスへ。深みのある金色で、黄色に近い透明感がある。コルク臭はほとんどなく、シェリー香もない。熟れた蜂蜜香と木のニュアンスの香りがある。口に含めば、柑橘系の皮の味わいが弱々しく漂い、「ほんのり」というよりは、うっすらと甘口に仕上がっている。水になる一歩手前といった感じだが、柑橘からくる苦味成分も喉もとで引っかかり、意外にアルコール感もある。なぜだか飲む毎に酔いを感じる。このドリンキングレポートではドイツやアルザスの古酒が度々登場するが、最も水に近く、最も儚さを感じる。 このワインをブラインドで出されたら、「何だこれ、ぺッ」と捨ててしまいそうな水っぽさだが、27年前にそこそこの造り手が造ったQbAワインを味わう緊張感が、このワインのいいところを探させる。腐ってても当たり前のワインだが、慎重に扱えば扱うほど、ワインの良さが蘇ってくる。おが屑のような蜂蜜香も弱々しくもしっかり存在し、しっかり酔わせてくる。飲みこんだ後に微かに戻ってくるうまみ成分が、27年の歳月に重なり、こういうおいしさもあるんだと実感させられる。飲み頃はとうの昔に過ぎ去っていても、まだワインとして存在し、畑に降った雨の雫が、本当の意味で土に返ろうとしているのだろう。なにか神妙な思いに駆られたりする。 気分を変えてリーデルのリースリンググラスに注いでいたものをテイスティング。あぁぁぁ。こちらは香りも立たず、味もそっけない。んん。寂しい。INAOに戻って最後までトコトン付き合ってみよう。時間と共にどんどん薄れいてく味わい。しかし酔いは回る。 ギッタンバッコン。1975年当時、公園の片隅のシーソーで遊んだ日々がワインに重なる。味は下がって、酔いは上がる。味は落ちつつ、しっかり酔ってくる。懐かしいシーソーに跨いでいるような、なんか変な感覚だ。
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