ジャン・グリボー
試飲日 2002年05月26日
場 所    神奈川県内某所       
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC赤ワイン
生産者 Domaine Jean GRIVOT (Vosne-Romanée)
Vintage 1993
テーマ ジャン・グリボーの熟成
ワイン CLOS DE VOUGEOT
 
<クロ・ド・ヴージョ>
 
抜栓後ロブマイヤーグラスへ。ムラサキのない深い色合いのガーネット含みのルビー色。熟成モードが始まってしばらく経ったかのような印象だ。温泉タマゴを彷彿とさせる硫黄のような香りがなくなると、黒い果実、お線香、なめし皮へと移り変わる。黒系果実味が熟成するとこうなるのかと思うと、素直な驚きと喜びに包まれる。口に含めば熟成したピノノワールの優雅な味わい。黒系果実の濃縮感がゆっくり解かれていく印象。まだまだ果実味を残しつつ、次第に枯れていく様が絶妙だ。ゾクゾクする深い味わいに言葉を捜す思いがする。余韻も長く、力強さの中に秘められた気品を堪能する時間の共有がたまらなく、すばらしい。あと3年から5年ほどは、このままのパワーを持続し、ゆっくりとゆっくりと枯れていく様子がまた、想像するだけで唾も出てきて、幸せである。

 ロバート・パーカーはこのワインに89点をつけている。なぜ90点以上の得点がつけられていないのか。パーカーズポイントの幻想を垣間見るとともに彼の判断の訂正を求めたい。このワインのおいしさを89点という点数でしか表現できない彼の判断に疑問符はとめどなく溢れてくる。このクロ・ド・ヴージョをもう一度飲ませて、BRAVOを連発する彼の苦笑いを想像するのも趣味が悪いか。

 そして巷に氾濫するパーカーのコメントを引用しただけのメルマガに違和感を覚えつつ、購買意欲が失われていく心境が寂しくもある。パーカーの引用にはもう飽きた。パーカーをこよなく信じる酒屋サンにこのワインを堪能してもらい、本当においしいワインとは何かをダイレクトに伝えてもらいたいと願わずにはいられない。パーカーによって過小評価されたワインの復活を。このクロ・ド・ヴージョはその先鋒を切る、すばらしいワインとなることだろう。それにしても1993年のブルゴーニュの赤は秀逸なワインが多く、決して安くない価格にして、それ以上の興奮を味わわせてくれる。感謝であり、ワインが好きでよかったと思える一本である。


以上



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