ポマール大会 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年06月01日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
<ポマール リュジアン1989 ミッシェル・ゴヌー> 抜栓後しばらく待ってINAOグラスへ。この明るいガーネットはいい感じの熟成色である。磯の香りを彷彿とさせるミネラリーな香りが漂っている。果実味は彼方に消え去りつつも、しっかりした酸味がかろうじて残るタンニンと融合し、立体的なうまみを形成している。力の抜け具合も絶妙で、うまみ成分がぎりぎりのラインに留まっている。余韻は長そうで短いが、鰹の刺身と頂けば、磯繋がりが完璧で、意外性のある組合せがとても楽しい。 <ポマール リュジアン1993 ミッシェル・ゴヌー> 抜栓後30分ほど経過した後INAOグラスへ。少し黒っぽさが残る奥深いガーネット。磯の香りは1989と共通するが、プラスして土壌香がふくらみを持たせている。イチゴを熟したような果実味がほんのり感じられ、うまみがごくりと楽しめる。丸みを帯びた味わいはバランス感覚に優れ、1993にして今がまさに熟成の頂点を思わせる。あとは急激に下り坂をかけていきそうで、よいタイミングで開けられたことがまったくもってうれしい。 <ポマール リュジアン1995 ユベール・ド・モンティーユ> 抜栓後20分ほど経過した後、通称ポマールグラス(リーデル社400/7)へ。1995にして意外にも美しいガーネットの色合い。リンゴが熟した皮のような香りが印象的で、やはり磯の風味も感じられる。力強い果実味がじっくり熟成したような味わい。やさしい味わいながら深い構造を持ち、優雅な味わいを醸し出している。うまみ成分を伴う余韻こそ短めだが、いい具合に力が抜けていて大変おいしく頂ける。 <ポマール クロデゼプノ1990 コントアルマン> 気がついたら抜栓されデカンタされていた。抜栓時間不明のまま、上記のポマールグラスへ。黒っぽいガーネットはまだまだ抜栓されることを拒んでいるかのような色合いだ。上記三作にはなかった果実味が力強く、ブルーベリーのアロマとも言うべき香りが強烈に香る。力強くパワフルな味わいは、とても12年の歳月を感じさせず、フレッシュな果実が心に突き刺さる。これからようやく熟成しますと宣言しそうな味わいは、意表を突かれた思いを禁じ得ず、ポマールの魅力に引きずり込む存在感だ。時間と共にミルク香が漂い始め、滑らかな味わいとマッチしてとても優雅なひとときだ。びっくりポマールと呼んで親しみたい味わいだ。 <ポマール1983 ルロワ> 今回のポマールで唯一の村名格で、ランク的に格下だが、ルロワに敬意を表してラストを飾る。抜栓後少し悩んで直接INAOグラスへ。いわゆるルロワの古酒節を絵に書いたような味わいである。くすみがちなガーネットは細かい澱のせいだろう。キノコ系の臭みのあるブーケは、デカンタをしたい衝動に駆られるが、味が一瞬で壊れるリスクを回避するため、グラスを少しひねるように回して飛ばすほうを選ぶ。鉄っぽいミネラリーな香りにリキュール香が加わっている。口に含めば出汁の味わい。ポマールの古酒というよりは、ルロワの古酒を頂いている印象が強く、ルロワ節全開だ。これぞおいしいルロワの味わいだ。 この1983ポマールは少し前に日本中の酒屋サンに陳列されていたが、今回のバージョンはそれより数年前に購入されて、某所の地下倉庫(通称防空壕)に貯蔵されていたものらしい。 <まとめ> 果実味豊かなコント・アルマン以外は、きれいに熟成したポマールが楽しめた。今が飲み頃というよりは、少し頂点を過ぎた印象を受けつつも、しっかりとした熟成感にうれしさがこみ上げる。濃くって強いポマールが花開き、閉じようとしている印象だ。ポマールの特徴としてのうまみ成分の短さが気にかかるが、熟成したポマールのおいしさを連続して楽しむ悦びは、かなり贅沢であると認識しつつ、うれしさが込み上げてくる。 某氏と某氏と某女史に感謝である。 以上 |