ドミニク・ローラン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年06月15日 | |||||||||||||||||||||||
<ジュブレ・シャンベルタン VV 1998> 軽く冷やして冷房の効いた部屋で抜栓して45分待ってからINAOグラスへ。液温22℃。冷たくも無く、温くも無い程度の温度。深いルビー色が光を吸収するかのごとく輝いている。重く、シックな色合いだ。土壌香を気持ち含む熟した果実香が漂っている。口に含めば、強い凝縮感。収斂性のある引き締まった味わいだ。金ッ気を感じつつも、大人の世界にようこそモード。ビターな甘味が豊かな果実味に絡み、うまみ成分がぐさりと突き刺さる。同席の某氏曰く、「うまみがダー」状態だ。これぞ、ジュブレ・シャンベルタンの男の世界の本筋だ。濃くって強いジュブレをローラン節で包み込んだような、そんなエキスを感じつつ、長い余韻に浸ったりする。時間と共に引き締まっていた凝縮感が崩れるような印象も悪くない。肩肘張っていたうまみ成分が、じわりとワインに溶けるような印象すら覚える。村名クラスにして並のグランクリュを大きく超える味わいは、驚きを伴いつつ悦びに満ち溢れてくる。新樽200%と高いアルコール感が独特の風味をつけつつも、しっかりとテロワールを表現してくるところが憎い。なぜならば、このワインはジュブレ・シャンベルタン以外の何物でもないからだ。どうしてドミニク・ローランはかくも作為的にワインを造るのに、大地の恵みを表現し得るのか。謎は深まるばかりである。 このワインには、古木特有の滑らかさはあまり感じないが、うまく溶けこむタンニンと程よい酸味が高位置で結びつくすばらしい味わいが特徴だ。このレベルになってくると、何の香りがするとか、どうのこうのという表現よりも、沈黙と溜息こそがこのワインのすばらしさを物語ってくる。すばらしい。今回は抜栓してから少し時間を置いていたが、食事と合わせてるなら抜栓直後から楽しむのも面白いだろう。赤み肉にからむアグレッシブなソースとのベストマッチを想像するだけで、頬が緩む。時間と共に骨格を変えてくる味わいは、会話が弾むほどに楽しめる逸品だろう。時間を見方にできれば、一層楽しい食事がたのしめそうだ。 以上 |