イヴ・ビゾー | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年08月13日 | |||||||||||||||||||||||
<ヴォーヌ・ロマネ>
抜栓後すぐブルゴーニュ用グラスへ。赤茶系のルビー色は澄んでいて、見るほどに深みを増していく。勢いよく立ち込めるアロマは、少し熟した黒系果実、なめし皮、草っぽいニュアンス、アジアンスパイスなどが感じられ、時間と共に皮の要素が、いわゆる茹でたソーセージ香とも表現し得る香りに変わっていく。妖艶という表現も当てはまるかもしれない。口に含めば、繊細でシルキーな味わいで、しっぽりと奥深い。タニックさは豊かな果実味に隠れて、ほとんど感じさせない。まさにエグミのないやさしい味わいは、ビゾー節と唸りたくなる。綺麗な凝縮感があり、大変おいしいワインである。 今回のワインはヴーヌ・ロマネの特徴である女性的で妖艶な味わいの典型だろう。色合いも薄い部類に入るし、どこかでしゃばった要素もない。ゆらゆら揺れる怪しげさを豊かな香りと共に過ごすひととき。鼻から抜いて、顔周辺に留まる豊かな香りと長い余韻。グラスは決して回さずに、自然の成り行きを見守るとき、豊かで深みのある味わいの静かなるカーブを堪能できることだろう。 今宵はビゾーはグラスワインでもサービスされていた。2000年のヴォーヌ・ロマネを少しだけ頂いたが、その味わいの差はビックリするほどのものだった。1999が偉大な年ゆえ、2000年は少し浮かばれず、ややもすると水っぽい印象を受けるが、2000年にはそれに合わせた飲み方があるので、ボトル1本楽しんだ1999のあとでは冷静な判断もできないというものだ。同席者はその違いに目を白黒させていたが・・・。ね。これがブルゴーニュの楽しさなんだよね。この味わいを知ってしまったら、抜けられないよと、小悪魔の囁きを呟いたりしながら東京の夜は深けていくのであった。 さて、今回のメインはワインももちろんのことながら、今年の春、モレ・サン・ドニ村某所で偶然お会いした田中ソムリエとの再会であった。現地ではペロミノでの試飲を含めて僅か2時間程度の出会いだったが、今こうして東京の夜の下で、互いに訪問経験のあるビゾーを楽しみながらしばしの団欒。いい感じである。さすが有名店だけあってテーブルは満席。そのためゆっくりと会話はできなかったが、彼のサービスを受けつつ楽しむ食事も良いものだ。感謝である。今度膝詰で一杯飲みながら、ブルゴーニュ談義に花咲かせたいところである。 以上 |