ユベール・リニエ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年09月26日 | |||||||||||||||||||||||
<シャンボール・ミュジニ 1997>
抜栓後すぐINAOグラスへ。液温18℃。濃いルビー色に気持ち茶が入る色合い。熟したベリーが勢いよく、かつ優雅に漂ってくる。すでに熟成モードに突入していて、甘味のある果実味と気持ち焦がした感覚が心地よい。口に含めば旨み成分の塊。奥深く、しなやかであり、それでいて力強さも持ち合わせている。この味わいは飲み手を脱力モードに引き込んでくれる。もう、うっとりである。この官能的な味わいはしばらく時間を止めてしまう。何も要らない。このまましばらくほっといてくれモードだ。 これはシャンボール・ミュジニの女性的で奥深い味わいそのままであり、村名のクラスを超えたすばらしいワインだ。うめぇぇぇとしかメモれない壊れ具合もまた楽しからずや。買い占めたい。ああ買い占めたい。買い占めたい。 <ジュブレ・シャンベルタン 1996> 抜栓後すぐINAOグラスへ。液温18℃。シャンボール・ミュジニよりも濃い色合い。おっとこちらは力強い土壌香が、黒系果実に混ざっている。オレンジピール、ドライフルーツ的な要素もあるようだ。口に含めば、荒々しい味わいをきれいに丸めたような印象があり、これまたすばらしい。まさにジュブレ・シャンベルタンの代表的な味わいであり、この男性的な味わいをしなやかに、やさしく包み込むユベール・リニエの実力にあっぱれである。時間と共に木を焦がしたようなブーケが漂い始め、熟成モードにさしかかっている頃合だ。 バランスがよく、丸みを感じる味わいにすっかり脱帽していたりする。旨み成分の塊は、余韻も長く、どうしてこれが村名クラスなのか、目を疑わずにいられない。さすがドメーヌで完璧な熟成をすませたワインであり、この味わいを巷で探すのは困難かもしれない。まさにセラー蔵出直後に勝るロットなし、である。 1996にしてシャンボールの1997よりも熟成モードに達していないのは、ビンテージの特色だろう。このワインは長熟タイプを意識させるが、当のリニエ自身はあと2年以内に飲まれることを想定していると漏れ伝わる情報もあり、出会ったらできるだけ早く飲みたいワインのひとつだろう。半年後の変化も待ちわびたいが、そのカーブを空想するだけでも自然と笑みもこぼれたりする。 <まとめ> 今回のテーマはリニエをおいしく飲む。もう。うますぎるぞ。蔵出直後のロットだけに市場に出回るものより若干高めだが、その価格差はこのうまみ成分が大いに吸収してくれるから、何ら問題ないだろう。うまい。リニエを語るならぜひ飲んでもらいたい逸品であり、ブルゴーニュの奥深い魅力の入り口にこのワインは並んでいるような気もする。 両者とも2002年8月ドメーヌセラー蔵出。 おそらく7月に訪問した時に見つけた、セラー内のあの一角にあったものだろう。 以上 |