アゴスティーノ・ブリュゴ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年09月28日 | |||||||||||||||||||||||
<ガッティナーラ 1989>
少し冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。少し濃い目のガーネットのグラデーションが美しく、エッジは透明。香りに勢いはあまり感じられないが、木苺系のブーケに鉄っぽいニュアンスが加わっている。口に含めば、脱力感を伴ったいい抜け具合にして、それが逆に柔らか味にも繋がっているような感覚が楽しい。強引に例えるならば、ボーヌの古酒にみられるような、しなやかな味わいでもある。 今回はさんま飯に合わせてみた。完璧である。何故、炊いたご飯がワインに合うのか。醤油がうっすらと味付けされていて、さんまの苦味にマッチするとき、米が野菜の一種として食卓に受け入れられ、ゆえに赤ワインにも合うような感覚が楽しい。さんまが丸ごと炊き上げられた逸品にして、このほの苦い旨み成分がネッビオーロ種の酸味に合うのだろう。不思議である。想像するに、おそらくワインとしての旨み成分の弱さに、さんまの個性が加わり、料理として完成されたのではなかろうか。ジグソーパズルがうまくかみ合ったような喜びにも似ているが、さんま飯単独でも充分おいしいので、ワインを引きたてるために、さんまが登場した感も否めなかったりする。 久しぶりのイタリアである。このガッティナーラは1991年にDOCGに格上げされたらしいが、この1989はまだDOCである。ワイン単独で楽しむならば、その力強さのなさは残念であるが、池子某所に眠っていたワインが藤沢某所の「和の名店」で旬の料理と共に開けられるのもまた一興である。いい経験をさせてもらった。某女史と某氏に感謝である。 以上 |