グロ・フレール・エ・セール
試飲日 2002年09月29日
場 所    神奈川県某所a       
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOC赤ワイン   
生産者 Domaine Gros Frere et Soeur (Vosne-Romanee)
Vintage 1993
テーマ 1993
ワイン CLOS VOUGEOT Musigni Grand cru
 
<クロ・ヴージョ ミュジニ 1993>
 少し冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。黒系果実味果実香。中心部には黒いルビーが深く輝きながらもガーネットへのグラデーションが始まりつつある色合い。熟した黒系果実が豊かにそして静かに漂っている。若干低めの温度のため、やや閉じ気味ではあるが、奥深い魅力を十分に携えている。黒系果実たっぷりな味わいが、少しずつほぐれてきたようなそんなゆったり感もある。時間と共に温度が上昇すると、まさにミュジニ的な女性的な味わいが顔を出してくる。黒系果実に代わり、エレガントな赤系果実味に、クロ・ヴージョによくあるオレンジピール系のニュアンスとなめし皮が加わって、なんとも上品である。圧倒的な力強さこそないが、この秘めた趣もまたグランクリュの為せる技だろう。余韻も長く、しなやかな味わいいつまでも続く。ところで、この1993ビンテージにしてこのやさしさは、今のうちに飲むことを薦められているようでもある。

 このクロ・ヴージョはグロの代表的な畑であるが、私の従来からのイメージは今回のワインとは異なっていた。そのイメージとは、1999ビンテージに代表される味わいだ。つまり、ロブマイヤーグラスのNo3.でたっぷりと転がしながら楽しむ味わい。ジャムのような黒系果実がその勢い溢れる力強さを内側に秘めたような熟し具合を連想するのだ。もちろん今回の1993はビンテージが違うので単純な比較はできないけれど、熟したあふれんばかりの果実というよりは、洗練されたミュジニー的な赤果実味が全面的に出ている。荒々しさを自身の体内に留める男性的な味わいではなく、よりエレガントな女性的なイメージなのだ。不思議である。ビンテージの差以上になにかがあるような気がするから不思議だ。サンプル数が少ないので、少しテーマを掘り下げて熟考したいアペラシオンのひとつだ。

 このワインの不思議さは価格にもある。一部のスペシャルキュベを除いて、およそグラン・クリュとは思えない低価格で取引されているのは、なぜだろうか。確かにクロヴージョの城の背後一面に広がる畑の面積は相当広いが、リシュブールと何倍もの価格差は俄か信じがたい。まあ安いに越したことはないのだけれど・・・

 クロ・ヴージョ・ミュジニClos Vougeot Musigniは国道側から見て、城の裏側一帯に広がり、石垣と小道を挟んでシャンボール・ミュジニの特級ミュジニMusignyに接している。クロ・ヴージョ・ミュジニの最後のスペルiであり、決してミスプリではない。
 

以上



目次へ    HOME

Copyright (C) 2002 Yuji Nishikata All Rights Reserved.