ラルロ
試飲日 2002年09月29日
場 所    神奈川県某所a       
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOC赤ワイン   
生産者 Domaine de l'ARLOT (Premeaux)
Vintage 1989
テーマ ラルロ登場
ワイン Nuits Saint Georges 1er cru
Clos des Forets Saint Georges (Monopole)
 
<クロ・デ・フォレ サン・ジョルジュ 1989>
 少し冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。室温25℃にして冷たさを感じる温度。黒っぽいルビー色だが外側に褐色系統が広がりつつある色合い。冷たい温度のため、香りはたっていない。口に含めば、おっ。まるで高級巨峰を皮ごと口に含んでやさしく噛み締めたような味わいだ。ジューシーな果実味が口の中に流れ出て、遅れて皮のエキスが歯茎を刺激するような、そんな味わい。このやさしい味わいは、これがニュイ・サン・ジョルジュであることを忘れさせる。いかにも女性的でやさしい果実味がうれしくなっている。熟成香も沈んだままなので、何ともフレッシュなぶどうジュース的でもある。これは冷やしたための恩恵だろう。古酒は高めの温度で開けると一気に壊れる可能性があり、やや低すぎるかなと思わせる温度からはじめると、こうも新鮮味があるとは驚きと共にうれしかったりもする。

 時間と共に温度も上昇。予想通り乾いた土壌香と黒系果実香が浮き上がり、熟成香とあいまって伝統的なニュイ・サン・ジョルジュの頭角をあらわしてくる。丸みほ帯びたタンニンが筋肉質的な味わいを醸し出し、男性的なニュアンスが全体の基調をまとめている。13年の熟成を得ているために黒系果実味は物静かに存在し、まもなく穏やかな深みを演出してくる。力強さはなく、しっぽりとしたニュイ・サン・ジョルジュになっている。温度が室温に近づく頃にはこのワインは静かにその役目を終え、長い眠りについてしまうのだった。

 このワインは今がまさに熟成のピークか、または下り坂に突入している趣があり、2,3年以内に飲みきることを想定していそうである。2人で一本飲みきるには力強さが足りないようであり、複数の人達と短時間に楽しむほうが、このワインのいいところだけを享受できそうな予感もある。短時間にいろいろと趣を変える味わいは、知的好奇心をくすぐられ、次回出会ったときはどう飲んだらいいか、いろいろ考えるとどんどん面白くなってくるところがうれしい。今宵の出会いに感謝である。

 2002年8月セラー蔵出。


<テクニカルレポート>(ドメーヌから頂戴した資料より)
 新樽比率は40から50%で、最大2回まで澱引きを実施。清澄は必要であれば卵白を使用し、樽熟成は16から18ヶ月。ノンフィルター。


以上



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