コント・アルマン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年10月13日 | |||||||||||||||||||||||
<ポマール・クロ・デ・ゼプノ 1989>
抜栓後静かにリーデルソムリエシリーズ400/7へ。いわゆるポマール用グラスである。黒いルビー色がベースとなってエッジに茶褐色が目立ち始めている。熟した黒系果実に薄く溶かした黒糖、紅茶が漂っていて、まだまだ若々しさを残しつつ、熟成モードにも突入しかかった香りがしている。口に含めば、強いアルコール感。ズシリと重いポマールである。果実味の荒々しさが、ようやくこなれた感じがしていて、さすがコントアルマンの実力を垣間見る。ただ旨み成分は一本調子で、複雑味がないところが寂しくもあり、なにかもうひとつインパクトが欲しくもある。難しい。コント・アルマンのポマールは開けるタイミングがかなり難しい。まだまだ持ち得る実力を開花させていない味わいは、ポマールグラスでも用を得ていないようでもある。余韻も思ったほど長くなく、ムムムと考えさせられるワインである。 ところで、このゴクリと飲み干して、1分ほどするとじわりじわりと腕の皮膚から旨みがやってくる感覚は面白い。毛穴がしっぽり濡れる感覚だ。飲みこんでからおいしいと感じるタイムラグが妙に長く、なんだか不思議な感覚だ。 INAOグラスに注いだほうはアルコール感がきつく、旨み成分の弱さを表面化させていた。おそらくアルコールをこよなく愛する人にはこの強さは歓迎されるが、ワインに別の「幸せ感」を求めている人には、なにか物足りなさを感じざるを得ないだろう。決して安くないワインだけに、ポマール好きを公言する人以外には今一つお薦めしづらいワインであり、あと数年待つか、孫のためにとっておくのも悪くないだろう。 コント・アルマンのクロ・デ・ゼプノは最もサービスがしにくいワインの代表格であり、おいしく飲んでもらうにはかなりの力量と予算が必要だろう。いつ開花するか分からず、小手先の抜栓技術では太刀打ちでないからだ。それこそケース買いして毎年どう味わいが変わるかぐらいの資金力と余裕が必要なのだろう。「ああ。そういえばあのときが一番おいしかったね」と言えるくらいのゆとりが必要かもしれない。これぞ通好みのポマールかと思われる。 2002年8月セラー蔵出。 以上 |