ドミニク・ローラン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年10月13日 | |||||||||||||||||||||||
<ジュプレ・シャンベルタン 1級 コンブ・オー・モワン>
抜栓後すぐINAOグラスへ。漆黒に近いルビー色はエッジに茶褐色を揺らしている。おそらく自然光や白熱灯のしたで見つめればもう少し明るい基調ではなかろうかと推測される。熟成香がバニラ、チョコレート、熟した黒系果実に複雑に絡まっている。口に含めば、干したような熟成感がもわんとしていて、それでいて力強い濃縮感があり、まだまだ荒々しさも持ち合わせている。緻密でしっかりした味わいは、少し長めに口に留めるだけで唾がどぼどぼ溢れ出てくる。心地よいバックテーストに包まれながら、しばしのローラン節を楽しみたいところだ。 カズティエやクロ・サン・ジャークと同じ斜面に位置するコンブ・オー・モアン。有力な情報によれば、このワインは野人フィリップ・ルクレールの畑から生まれたという。ドミニク・ローランがどの段階(葡萄、樽など)で購入したか定かではないが、ルクレール特有の松脂系の味わいをどことなく残しながら、新樽200%などのローラン手法により、新たなるルクレールの可能性を示唆しているようでもある。ローランの手にかかれば、さらにグレードアップするかのようなそんな思いもしたりする。 このワインはうまい。時間とともに果実味の荒々しさが解け、優雅に心地よい。丸みを帯びたタンニンが口の中でやさしく自己主張しながら、やさしく掌で温められたような、そんな丸み感もある。このワインに弱点は見当たらないが、しいていえばローラン節全開の味わいゆえに、ルロワに共通する安心感があり、そのためにハラハラドキドキしないところだろう。あまりにも優等生過ぎて、優等生とは遠い存在の私からは羨望にも似た嫉妬があったりもする。しかし育成(エルバージュ)の天才はやはり只者ではない。このおいしいジュブレ・シャンベルタンは熟成の味わいを大いに発揮して、まさに今、開花している。 <おまけ> 今回のワインのエチケットはいつものドミニク・ローランのそれとは違う模様が描かれている。コート・ドールの丘が線路や道路とともに描かれているのだ。なかなかおしゃれなエチケットだと思う。 以上 |