イヴ・ビゾー
試飲日 2000年12月5日
場 所    都内某所     
照 明 白熱灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOC特級ワイン
生産者 Domaine Jean-Yves BIZOT (Vosne-Romanee)
Vintage 1998
テーマ ブルゴーニュの若手。
ワイン ECHEZEAUX (En Orveaux) エシェゾー
 


<味の印象>
 洗練された味わいである。透明感のあるルビー色は穏やかで、若干黒系も混ざり合った色合いは、さすがエシェゾーである。チェリー系の果実香がやさしく立ち昇る。おいしいワインである。ただ、そのあまりにもピュアな味わいは、飲み手を少しばかりがっかりさせる。この村に求めたがる複雑さはこのワインには感じられない。余韻も弱く、おいしい瞬間はあっという間に消えてしまった。これはひとえに1998年というオフビンテージのためだろうか。有機栽培の過信から来るものだろうか。おいしいけれど、何か物足りない。ワインが強烈に主張しない分、食中酒としてはかなりのグレードでもてはやされるだろう。やはり大金持ちのテービルワイン系の趣を感じざるをえない。

 ちなみに同一ビンテージで同一ロットのエシェゾーは今年の5月と7月にも試飲している。半年前の二回の印象は今回のものとは違っていた。5月の時は、薄い色合いと薬っぽさのために、苦手とのコメントが残っている。かたや7月の一本は、行き着く先はヴォーヌ・ロマネだと絶賛している。インド上空系のオリエンタリックさに、しみじみとしたうまさを感じていた。飲むたびに味わいを変えるエシェゾーに戸惑いつつも、次回のチャンスも待ち遠しくなる。

 あえてまとめてみると、このエシェゾーは奮発して購入するも、とっておきの日に飲むには、やや厳しいかもしれない。直前に飲んだドメーヌ・ミュニュレ・ジブール(Domaine MUGNERET-GIBOURG)のACヴォーヌ・ロマネ1996の印象が非常に良かったために何ランクも上の特級にしては・・・だった。ジブールと比べるのは、あまり意味はないが、半値で買えるグレートビンテージの村名ワインに軍配を上げざるを得ないのは、やっぱり寂しい。


<イヴ・ビゾー>
 今回のエシェゾーは、「おいしいけれど」系であったが、イヴ・ビゾーは好きな造り手のひとりである。特にACヴォーヌ・ロマネの古木VVや畑指定のジャシェはコストパフォーマンスに長けた逸品である。インド上空で飛行機の窓を一斉に開け放ったような、オリエンタリックな御香のインパクトは、しみじみこの村の特徴を伝えてくれる。
 アンリ・ジャイエの隣に住み、天才の影響をそのワインに伝える若手であり、これからの造り手である。有機栽培を実践し、天才の手法を駆使している。しかも特級のランク落しや、手作業での瓶詰めはワインへのこだわりが伝わってくる。ロバート・パーカーもその著書で絶賛している。

 ただこのドメーヌは小規模のためか、樽ごとに瓶詰するので、ボトル毎の品質のばらつきが相当あるらしい。上記のように飲むたびに変化する印象も、このあたりに原因があるのだろう。それとも単なる飲み手の未熟さからくるものだろうか。彼のワインはおいしいし、この村にしては高くはないので、何度でも試してみたい心境である。

以上


目次へ    HOME

Copyright (C) 2000 Yuji Nishikata All Rights Reserved.