アンリ・ペロ・ミノ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年12月08日 | |||||||||||||||||||||||
<モレ・サン・ドニ アン・ラ・リュ・ド・ヴェルジィ(村名畑指定)>
抜栓後すぐINAOグラスへ。液温19℃。ムラサキをエッジに配するかなり濃い目のルビー色。この濃い色合いは1997以前のペロ・ミノには感じなかった色合いで、個人的に好みから遠ざかっていく色合いである。黒系果実に混ざりユリの花が静かに香っている。口に含めば、歯茎にタンニンを意識する味わいで、ん、と考え込ませられる味わいだ。明らかにうまみが乗っていない。酸味とタンニンのバランスも悪く、どことなく居心地の悪さを禁じえない。従来のペロミノは若干構造力に欠けるものの、やさしいうまみ成分を感じさせてくれていたのに、スタイルが悪い方向へ変わっている。 そういえば香りも沈みがち。ブショネ?とまではいかないけれど、味わいに統一感がなく、このばらけ具合は残念である。ボトルコンディションが悪いのだろうか。このボトルだけか? このボトルだけであってほしい。少しもあのやさしいペロ・ミノらしさが感じられないぞ。「1999年は偉大な年なのだから空ける時期が早すぎるのだ。」という批判も聞こえなくはないが、それは格好の言い訳に利用されかねず、うまいワインは出来た瞬間(樽の段階)からでもうまいという持論に立てば、このワインを熟成させても味わいの疑問符は消滅しないだろう。バランスが悪いだけではない、何かうまみが足りないのだから。もう一本買って、数年後に確かめるという方法もあるが、来週本人に会う予定なので、友人として直接議論したいところである。 これはイカンだろう。最近のペロ・ミノはインポーター云々や畑を急激に広げすぎと指摘されるなど、味わいの低下が一部で叫ばれているが、それが実しやかになっている。働き者のクリストフ氏は最近メキメキ頭角を現しており、現地のメディアの登場回数も増えているだけに、この一本で評判を崩すことはないにしても、この味わいは尾を引きずるほどである。 とにもかくにも、今はこのボトルだけがいまいちだったと祈るばかりだ。 最近飲んだ1997のシャルム・シャンベルタンのおいしさを1999にも、である。 以上 |