フランソワ・ラマルシュ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年12月08日 | |||||||||||||||||||||||
<ヴォーヌ・ロマネ 1級 スショ>
抜栓後すぐINAOグラスへ。透明感のない濃いルビー色。赤系果実味果実香。華やかな赤系の甘い果実香が香っていて、第一印象はいい感じである。口に含めば女性的な味わいで、上品なラマルシュ婦人の素敵な笑顔が思い出される。しかしである。今ひとつスケール感が足りない。小さくまとまりすぎて、なんだか拍子抜けの印象も否定できない。この村特有の怪しげな雰囲気はなく、タンニンもばらけ気味で、苦味がうまみ成分に勝っている。そしてふと気付いた頃には女性的な雰囲気は弱々しさに様変わりしている。余韻は意外に短く、ここに感動はなかったりする。これはどうしたことだろう。 思うに、このワインには期待するところが大きすぎるのだろう。ヴォーヌ・ロマネにあって比較的手ごろな価格設定と素性の確かさから大いに期待は膨らむが、どうもその期待はあっという間に萎んでしまう。なぜだろう。少しまとめてみよう。 <期待するもの> 1.スショのテロワール 2.1999という偉大な年 3.有名ドメーヌ 1. スショについて スショは南側で特級ロマネ・サン・ヴィヴァンと特級リシュブールに接し北側で特級エシェゾーの間に位置するという最高の地にある。飲む前からおのずと期待が高まってくるのは、ある意味やむを得ないのだ。AOCは村名1級ながら、特級の要素を期待せずにはいられない。しかし、ここがまさにテロワールの妙で、この地が特級でない理由を、飲むと納得せざるを得なかったりもする。この印象がコルトンの丘の麓に位置するショレ・レ・ボーヌのワインにタブルのは私だけだろうか。高額なショレ・レ・ボーヌという偏見を払拭したいが、そういうスショにはまだ出会えていない。 2.偉大な年1999 一般的にブルゴーニュの赤ワインにとって1999は1990に並ぶ偉大な年とされている。メディア各誌はいずれもその偉大ぶりを絶賛しているが、私は最近どうもその評価を疑いの目で見たりする。本当に1999は偉大な年なのだろうか。確かにファーストインプレッションはハイパフォーマンスだが、最近出会ったワインはいずれもうまみ成分が弱く、余韻も予想外に短い。サンプル数が少ないので明言はしないが、偉大な年という先入観はそろそろ捨ててもよいかもしれない。このあたりは違う機会に。 3.有名ドメーヌの知名度 ラマルシュは特級ラ・グランド・リュを単独所有するドメーヌであり、ヴォーヌ・ロマネ村の名門である。造られるワインはその特級ワインを含め、今ひとつ評価は上がっていないが、その分比較的割安な価格で楽しめ、しかも最近の技術力の向上で、トップドメーヌとの格差は縮まっているかもしれないという期待感もある。その期待感はまだ満足に満たされないが、いつか満足させてくれるはずだとの思いも残っているところが話を長引かせるのだろう。 まとめ かんばれ ラマルシュ そして今回のワインがボトルコンディションに影響されていたことを願ったりもする。 以上 |